経済理論的には、

物価が上昇すれば、

給与所得も上がる、

と言われます。

 

その為、世界中の政府が

インフレの目標値を

年2%前後に設定します。

 

しかし、実態としては、

物価は100年単位で見ても

概ね上昇傾向にありますが、

所得に関してはその上昇に

付いて行けていないのが実情です。

 

50年前の初任給よりも、

2018年の初任給の方が

額面上は遥かに高額ですが、

可処分所得は、

となるとまた別の話となります。

 

 

さて、昨日の記事で

1994年をピークに

日本の平均世帯所得は減少傾向にあり、

一方の物価に関しては

94年から2015年の間にも

上昇していると記しました。

 

論拠となった厚生労働省のデータを

より詳しく見ていくと、

2015年の1世帯平均所得は

545.8万円となっていますが、

これはあくまでも

「世帯」全員での所得であり、

一人の所得ではありません。

 

単独世帯での平均所得は

255.5万円であり、

単独世帯には若い人が多いと言っても、

世帯所得の

半額以下となっていますので、

ここから見えてくるのは

1994年から100万円以上

減少した所得を、

一人以上の収入でようやく賄っている

現代社会の実情です。

 

 

それは女性の

「仕事あり」割合にも現れます。

 

 

2004年と2016年の

データの比較ですが、

男性は25歳から59歳まで

両データとも90%を超えて

「仕事あり」となっていますが、

女性は全世代で

2004年の女性たちの方が

仕事をしていません。

さらに、25歳から39歳までの

データは特に顕著で、

10%ほどの差で

仕事をしていません。

 

つまり、2004年の段階では、

2016年の家庭に比べて

10%ほどの家庭で

女性が働きに出ていなくても

生活を維持出来ていました。

 

 

実はこれも先進国に

押しなべて見られる傾向で、

1970年代以降、

物価上昇率に

所得の上昇が追い付かなくなり、

それと共に

「女性の社会進出」が

声高に叫ばれるようになります。

 

「社会進出」を目標とした女性は

19世紀でも勿論いましたが、

1970年代以降の

「女性の社会進出」には

強制性が伴うこととなりました。

 

 

これまでの生活水準を、

男性一人の収入では

賄い切れなくなった為、

「社会進出」という名の共働きを

先進各国が言葉を変えて

推奨していった歴史があります。

 

そしてそれは21世紀に入った

2004年と2016年の

データを見てさえ、

明らかな差として出てくるのです。

 

 

1994年以降も、

2000年前後やリーマンショック後の

一時期を抜かせば、

物価は上昇してきました。

 

一方で平均的な世帯所得は

100万円以上の

減少となっていますので、

当然ながら複数の収入が無ければ

家計は厳しくなります。

 

2世帯で同居している場合、

親夫婦共働き、息子夫婦も共働きと

4人で家計を支えているような

場合もあるでしょう。

 

そのような家庭のデータも含めてさえ、

平均世帯所得が

100万円減少しているのが現実です。

 

 

若者のマイカー離れ、行楽離れ・・・

当たり前の結果でしょうね(苦笑)

 

この現実は

「アベノミクスの失敗」

とは無関係であり、

むしろアベノミクスは

一定の成果を出してはいます。

 

しかし、次なる矢を放つのであれば、

いかにして「世帯所得」では無く、

「一人当たり所得」を上げるのか、

数十年単位で

大きく後れを取った物価に

所得が追い付く為の政策でしょうね。