三国志では、

君主の圧倒的な能力と存在感で

他を圧倒した

中国北部を押さえる曹操率いる「魏」

 

君主も家臣も多少地味ながら

現在の南京を中心に

中国南東部を押さえる孫権率いる「呉」

 

諸葛孔明や関羽・張飛など

有名武将たちを束ねながらも

領国は四川省を中心に小さい

劉備率いる「蜀」が対立します。

 

 

これを後世の人は、

 

「天の時を得た曹操、

地の利の得た孫権、

人の和を得た劉備」

 

と称します。

 

 

この「天・地・人」は

数年前の大河ドラマでは無く、

世界を構成する要素として

中国で捉えられている考え方です。

 

 

さて、

現在のビジネスの世界において、

一部の人が好んで使うレトリックに、

 

「天の時は地の利に如かず、

地の利は人の和に如かず」

 

があります。

 

これは中国を代表する儒学者の一人、

孟子の言葉ですが、

 

「チャンスは地の利に敵わず、

地の利は人の繋がりに敵わない」

 

という意味で、ビジネスにおいては

「経営者の能力や

ビジネスチャンスよりも

従業員の団結力こそが

ビジネスを成功させる」

というような文脈で使われます。

 

社員教育アドバイザーや

セミナー講師の方が

好んで使うのが良く分かります。

 

 

しかし、三国志好きの私としては

納得がいきません(笑)

 

人の和を得た劉備は、

三国志の中では主役であり正義ですが、

勢力は一番小さく、

息子劉禅の代ではありますが、

三国で最初に滅んだのも蜀となります。

 

結局三国志において

全国を統一した国は無く、

天の時、地の利、人の和には

優劣は無く並立する要素なんだと

解釈しています。

 

その3つの要素を

上手く活かした時に、

建国でもビジネスでも

成功するのだと思います。

 

 

第一、

ビジネスで使われている

このレトリック、

孟子の言葉ですからね~。

 

セミナーなどで使っている人は、

孟子が性善説を前提にしている

思想家であることは

理解しているんだろうか??

 

資本主義社会における

ビジネスの成功とは、

他者の敗北の上に成り立ちます。

 

市場のパイを奪う

弱肉強食の世界です。

 

この孟子の性善説の

対になる思想家は

「青は藍より出でて藍より青し」

で有名な荀子です。

 

こちらは性悪説を前提に

礼を説きますので、

ビジネスで参考にするなら

こちらでは・・・と思います(笑)

 

 

さて、

要素の優劣や順序はどうあれ、

物事を成功させる要素に

「天地人」があることは私も同感です。

 

 

曹操が得たような、

今この時こそ!!

というチャンスをしっかりと捉え、

孫権が得たような、

自分の力を発揮し

勢力やビジネスを拡大出来る

需要ある場所を見極め、

劉備が得たような、

部下に限らず

導いてくれる人や仲間などの

人脈が揃わなければ

成功は収められないでしょう。

 

そしてチャンスの時とは、

不思議とそれらが揃いますし、

チャンスを逃す人とは、

今この時!!に

躊躇して立ち上がらなかったり、

自分の能力を過信して

その時でも無いのに立ち上がったり、

立つべき場所を間違えたり、

乞うべき人の和を

無視したりする人でしょう。

 

 

天地人をビジネスで語る時、

孟子的文脈では無く、

三国志の視点から考えた方が、

捉えやすいですし、

正確だと思うんですよね~(笑)

 

 

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