昨日

戦争へのPoint of no returnの

記事をアップしましたが、

まさかその翌日に

米英仏が対シリア爆撃に

出るとは思いませんでした。

 

 

ロシアが高官を通じて

「ミサイルの発射元も反撃の範囲内」

との声明を発している中で、

その声明を越えての爆撃となると

ロシアの面子を潰す形になりますので。

 

今回の攻撃も

ロシアへは通告済みとの報もあり、

互いの面子を保つための

ガス抜きだったのかは

まだ分かりませんが、

アメリカだけでなく、

英仏も参加していることを考えると

事態はより緊迫の度を増します。

 

 

そもそも、

今回の爆撃の根拠となっているのは

シリアの首都ダマスカス郊外の

反政府勢力が支配していた

東グータ地区への

「化学兵器攻撃」ですが、

この「化学兵器」の使用についてさえ

確かな情報が

出ていない中での攻撃でした。

 

既に東グータの9割を掌握し、

大半の武装勢力とは停戦合意も

結んでいたシリア政権側にとって、

そこで化学兵器を使う事の

メリットはあまりありません。

 

事件が起こった時に

誰が一番得をするのか!!

を推理の基本とするのは

英国のポワロだろうと、

フランス在住のデュパンだろうと

同じだと思います。

 

今回の化学兵器使用に関しては、

シリア政権側にとっての

メリットがあまりにも小さく、

実際この「化学兵器攻撃」の数日後には

東グータを完全掌握していますので、

必要性が低過ぎます。

 

 

そして昨夜遅く、

欧米が正当性の根拠とする

「化学兵器攻撃」を受けた直後の

病院の映像に映っていた人物の

証言が出てきました。

 

それによると、

通常攻撃を受けた後、

病院で治療を受けていたら、

数人が突然入ってきて

「化学攻撃だ!!」と叫んだので

病院内の人々がパニックに陥った、

とのことでした。

 

そのパニック状態での映像が

化学兵器使用の証拠とされています。

 

この証言に、

情報機関に勤める訳でも無い私が

アクセス出来る状況で、

しかもフランスのマクロン大統領と

プーチン大統領が電話会談を行い

「武力介入より

第三者機関の公正な調査が重要」

との見解で一致したとの

報道も出た直後に、

そのフランスも含む米英仏の

調査団派遣より早い

シリアへの爆撃となれば、

きな臭さだけが残ります。

 

病院証言が

ロシア側のプロパガンダかもしれません。

 

しかし、それさえも検証を行わなければ

何も断定は出来ないでしょう。

 

私よりも米英仏の諜報部の方が、

情報収集に不得手で、

この病院証言にアクセス出来なかった

訳では無いはずですし、

調査よりも先に攻撃する

必要性と思惑があったのでしょうね。

 

 

米英仏にとって、

イランは無視する相手だとしても、

ロシアはそうはいきません。

 

だからこそ、攻撃した各国共に

ロシアが支援する

「シリアの政権転覆を目的としない」

と明言しているのでしょう。

 

ロシアとの間にどこまでの

情報共有があったのかは分かりませんが、

それでもロシアの面子が

潰されたのは事実ですし、

この攻撃が緊張の緩和に

向かう事は無いでしょう。

 

 

未だPoint of no returnの

手前だと信じたい所ですが、

戦争の足音は、

確実に大きくなっています。