マスコミに対する批判の中に、

報道しない自由

の行使が挙げられます。

 

「公正・中立」を標榜し、

「世の中を伝える」と

宣伝しておきながら、

自分たちの描きたい「ストーリー」に

反する事象や情報は徹底的に排除し、

世論を自分たちの「ストーリー」の

方向へと誘導する傾向が

その批判の原動力となっています。

 

「ストーリー」を伝え始めたら、

それは報道では無く

世論誘導となりますが、

マスコミはそれを認めないでしょう。

 

何故なら、彼らは

「彼らにとって都合の良い事実」

のみを取捨選択しているだけであり、

「事実」は伝えているから。

 

 

さて、

このレトリックは情報を扱う

全ての組織において

共通する課題・問題です。

 

安全保障分野における

インテリジェンスであれ、

企業が持つ情報であれ、

常に情報には

この問題が付きまといます。

 

 

太平洋戦争において、

日本は軍事面だけでなく、

情報戦においても大敗を喫しました。

 

情報を取り扱う組織はあり、

優れた情報戦を

展開した事もあるのですが、

情報を上層部に意図的に伝えない

「伝えない自由」を

行使してしまった結果、

日本の大敗北に繋がりました。

 

例えば、

1944年のマリアナ沖海戦では、

直前に日本海軍司令部が

フィリピンでゲリラに拘束され

作戦計画書を奪われます。

 

しかし、その後解放された司令部が

その事を伝えなかったため、

アメリカ軍はその作戦計画書を分析し、

それに沿った作戦を立てる一方で、

日本海軍は奪われた作戦計画に

沿って行動したため、

兵力以上の戦力差となり敗北、

サイパン、グアムなどを失い

本土空襲が始まることとなりました。

 

また、1945年のソ連参戦の情報を

一部日本の情報職員は

掴んでいたため、

再三本部に報告はしていたのですが、

この情報を上層部が共有することは

ソ連の参戦までありませんでした。

 

 

軍隊や情報機関であれ、

政府、企業やメディアであれ、

情報が辿る道は同じです。

 

現場で収集された

無数の「情報の種」が

中央に集められます。

 

そこでは情報の

収集、分析、加工が行われ、

「情報の種」は

「情報・インテリジェンス」に

変わります。

 

そして情報を必要な対象、

上層部や顧客、視聴者へ伝達します。

 

つまり、情報は

「集める場所」

「分析・加工する場所」

「使用する場所」

に分かれます。

 

情報の種の全てを

上層部に上げていては

情報が多過ぎて混乱しますので、

必要な情報を

引き出しに整理してしまい、

そこから必要に応じて出すのですが、

この時に情報という「事実」とは別の

個人の「意図」が介在してしまいます。

 

トップには不必要と判断された情報は

引き出しの奥に

しまわれてしまうのですが、

その情報が

本当に不必要であったか否かは、

この中間の人物の思惑1つとなります。

 

これは後年

CIAも陥った情報を巡る問題点です。

 

この人物がトップに上げたくない、

メディアに流したくない情報は、

「ねつ造」とは異なる

「伝えない」という嘘によって

情報が操作されてしまいます。

 

 

加工された情報を貰う

最下流にいる人物の多くは、

視聴者や市民だけでなく、

国家や企業、軍隊などの

組織の頂点の人物であることが

多いですが、

王様は情報という服を着ていない

裸の王様だったりします。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

ポストお問合せはこちらからポスト

 

取材、出演、執筆依頼 コンサルティング相談など