「諸行無常」とは

祇園精舎の鐘の音のことを

指す言葉では無く、

「諸行」世の諸々の全ては、

「無常」常態であることは無い、

つまり不変のものは無い、

という意味となります。

 

 

この「諸行無常」

国際政治、世界史にも当てはまります。

 

国際政治を考える時、

私たちはしばしば

現在の常識、価値観、境界線に

囚われてしまうことがあります。

 

 

例えば私が育った

アメリカはロサンゼルス。

 

多くの人が「アメリカ」と思っています。

 

現在の常識ではそうなりますが、

地名は英語なら

「Theエンジェルズ」となります。

 

余談ですが、

「ロス」と言うと

「The」と言っているだけですので、

世界的には通じませんよ(笑)

 

では「ロサンゼルス」とは何語なのか。

 

スペイン語となります。

 

1850年に

カリフォルニア州が成立しますが、

それ以前1846年までは

メキシコ領となります。

 

しかし、それすらも諸行無常。

 

1821年にメキシコが成立しますが、

その前後では

ロシアが西海岸沿岸を南下し、

植民地化を試みます。

 

それ以前となると

200~300年程は

スペイン領となります。

 

そして勿論、

それより前の時代となると

ネイティブアメリカンの土地となります。

 

ロサンゼルスはアメリカ領。

1867年が明治維新ですので、

明治以降の歴史程しか

その「常識」は経っていません。

 

スペイン領であった

時代の方が長いですし、

そもそもは非ヨーロッパ人の土地です。

 

 

「常識」を今に当てはめてしまうと、

様々な地政学的な動きの

意味と予測を誤る事となります。

 

 

2014年、

ウクライナで政変があり、

親ロシア系政権がクーデターで倒れ、

ウクライナ右翼を中心とする

政権が誕生します。

 

それに対してロシアが介入し、

クリミア半島を併合します。

 

この動きに国際社会は

「侵略」として対ロ制裁を発動しますが、

ロシアの認識では

ロシア領の再統合となります。

 

この認識と正当性の

ズレを産むのがやはり歴史です。

 

1990年の世界地図を見れば、

そもそもウクライナという

国家はありません。

 

当時は

ソ連邦を構成する共和国でした。

 

そのソ連邦時代のウクライナ領に

クリミア半島は含まれていましたが、

これは1954年に

当時のソ連最高指導者

フルシチョフによって

ロシアからウクライナに

友好の証しとして割譲されたからであり、

ソ連邦編入前の建国当初

1920年代頃のウクライナ領には

クリミア半島は含まれていません。

 

このクリミア半島の所属が

ソ連時代にロシアからウクライナへと

変わっていることが、

ロシアの主張する

「固有の領土」の根拠となります。

 

 

この歴史を知らなければ、

ウクライナ政変以降の

政治的流れを

読み解くことが出来ません。

 

 

また、NATOとロシアが

対立する要因として、

東ヨーロッパにおける

欧米が不用意に

足を踏み入れてはいけない

領域があります。

 

それが旧ソ連邦諸国の領域であり、

特にウクライナ、

モルドバ、ベラルーシなどです。

 

ここに欧米が

軍を派遣するということは、

どのような緊張をもたらすのか、

歴史的経緯を見れば分かりますし、

ロシアがどこまでを

「庭」と考えているのか、

やはり歴史から分かります。

 

 

しかし、

一方でクリミアは

ロシアの「固有の領土」という

主張の危うさもまた、

歴史の中から見て取る事が出来ます。

 

 

明日の記事へ続きます

 

 

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