経済的に、移動環境的に、

世界が近くなったこともあり

世界各地で観光客数が

上昇傾向にあります。

 

日本も例外では無く、

訪日外国人数が

右肩上がりとなっている中、

東京オリンピックも控え、

より観光環境の整備が

進められています。

 

国としては観光立国化を

目指しているようです。

 

 

しかし、

私は「観光立国」へは

大きな危惧を抱いています。

 

 

これは地方の観光都市化でも

同様なのですが、

観光客が心地良く

観光が出来る環境整備作りと、

産業構造を観光主体にすることは

まるで別問題となります。

 

また、街の魅力として

歴史や伝統では無く、

観光客に媚びた街作りをする

間違った観光地化をする

ケースもあります。

 

 

観光客を受け入れない

排他的雰囲気や

観光客を狙った犯罪が多発する、

なんてことはもっての外で、

こういった構造は是正すべきでしょう。

 

 

しかし、

産業構造を観光に合わせてしまうと、

その都市への観光ブームが過ぎた、

観光に適さない自然災害などが発生、

などのケースが起こった時に、

観光地や宿泊施設は収入を失い、

それを見越して雇っていた

従業員は不要となり、

都市の経済が破綻することになります。

 

稼ぐ手立てを観光客が落とす金以外に

持ち合わせていない場合、

観光客が遠のけば街の経済全てが

機能停止に陥ってしまいます。

 

 

観光はあくまでも

生活必需のものでは無く、

余裕の中の楽しみですから

消費者が使うお金の中では

序列が下位となります。

 

世界経済の動向によって、

そもそも消費者に観光に行く余裕が

あるか否かで左右され、

次に観光地に選ばれるかどうかの

選択にかけられ、

来た観光客が幾ら使ってくれるかという

判断にもさらされ、

多分に消費者・観光客上位の

市場となっています。

 

また、

その観光客を呼び込もうと

必死になるあまり、

都市の本質を見誤るケースもあります。

 

例えば

イタリアの人気観光地ベニスでは、

観光は大きな収入源となっていますが、

産業構造が観光に依存し過ぎた結果、

地元住民が住めなくなった、

という本末転倒な事態となっています。

 

観光客と民泊業者が増え過ぎて、

住宅価格は高騰、

そして食料品や日用品の物価も高騰し、

観光客が捨てるゴミで街が溢れかえり、

日常を送るには不向きな

「ベニスという町」では無く

「ベニステーマパーク」と

なってしまいました。

 

また、どこか日本では無い

世界の秘境に行ったのに、

街には日本語案内が溢れ、

日本人店員が

日本語で対応してくれたとして、

それでは世界を旅した醍醐味は

薄れてしまいます。

 

自国には無い

雰囲気を求めて旅に出ても、

世界中に洗練されたデザインの

高級店が軒を連ね、

似たような景色の中で

その時経済が好調な国の言葉が

街の案内板や店員で溢れ、

その国、その街だけが持つ魅力、

というものを半減させてしまっています。

 

真の観光地とは、

「世界基準の街並み」では無く、

「そこにしかない価値を提供する街」

だと思います。

 

その上で、観光客が心地良く過ごせる

ソフト・環境を整えれば良いのであって、

産業を過度に観光に依存させると、

経済が景気動向や環境に左右される

常に受け身の産業構造となり、

本来その国、街が持っていた

歴史、文化という魅力までもを

失わせる危険があります。

 

 

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