税には2つの考え方があります。

 

法人税減税や高所得者減税を行い、

企業や高所得者を誘致し、

彼らの余剰資産を使ってもらう事で

経済全体を活性化させる

資本主義的アプローチ。

 

法人税増税や高所得者増税を行い、

彼らが持つ資本を徴収することで

税収入をアップさせる

社会主義的アプローチ。

 

 

法人や高所得者は

経済的余裕がありますので、

税率が低い地域への転居も可能です。

 

そのため、

税率が低い地域に集まる傾向があり、

簡単にまとめれば

資本主義的アプローチは

セールで大量に売る薄利多売戦略、

社会主義的アプローチでは

高価な一点モノを売る戦略、

そんな感じですかね。

 

 

私個人の経済アプローチは

前者寄りとなりますが、

一方で近年の国際的な経済状況は

単純化出来ない

複雑な状況となっています。

 

 

近年は世界的に

物価上昇率が

賃金上昇率を上回る傾向にあります。

 

今年の給料が20万円、

家賃が5万円だとして、

来年の給料が21万円、

家賃が7万円になる。

 

そんな感じです。

 

家賃を引いた収入が

15万円から14万円となり、

実質的には

給与が下がったことになります。

 

 

この傾向は

70年代から徐々に始まっており、

世界はスローペースで

貧困化しているのですが、

一方で企業の業績は好調で、

株価は天井知らず、

表面上は好景気となっています。

 

株価ベースの景気と実体の

乖離が起こる要因の1つは、

「平均」の取り方にもあるでしょう。

 

5人全員が月収30万円でしたら

当然平均所得は30万円になります。

 

一方1人が100万、

4人が20万円の場合の

平均所得は36万円となります。

 

では、平均所得が

36万円の社会の方が

豊かなのかと言えば、

答えは違うでしょう。

 

重要なのは「平均」では無く、

「中央値」なのですが、

日本は特に「平均」で

実態を観ようとする傾向が強いですので

情報を得ることで

さらに混乱してしまう

ケースが出てきます。

 

 

現在、

欧米で問題となっているのが

CEOなど企業の重役に対する

給与の爆発的インフレです。

 

先日英国の建築大手が破綻しましたが、

企業を圧迫した要因の1つは

巨額の役員報酬でした。

 

また、

社員を数百、数千人規模でリストラし、

それを功績として

億単位の報酬を得ているような

ケースも欧米では多々見られ、

労働者の困窮をよそに

経営陣は一生では使い切れない程の

額を手にしています。

 

そして、彼らの手元にある資産は

国に納められず、

租税回避地を経由して

株式市場に回る為、

株価は安定して上昇し、

その経済指標を基に

物価が上昇していくことになります。

 

雇用統計などを見ても

世界的に労働市場は安定しており、

先進国で高失業率に悩む国は

少なくなっていますが、

それは物価上昇率に

追い付かない賃金で働いている

労働者によって

支えられているためであり、

好景気は

「国民全体で豊かになる社会」

を表しているものではありません。

 

 

欧米式成功報酬型の

天井知らずの役員給与の上昇と、

租税回避地問題、

この2つを解決しないと

高い経済成長率を実現させてきた

資本主義的税制アプローチは、

いずれ世界各国を

破綻に追い込む気がしてしまいます。

 

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