最も強力は

安全保障上の武器は何か。

 

多くの人は

核と答えるのではないでしょうか。

 

しかし、核兵器は

最も悲惨な結果を産む

兵器ではありますが、

戦局を一変させる

最強の武器は「広告」です。

 

 

ベトナム戦争はアメリカが勝った、

と言えば

歴史を知らないと思われるでしょう。

 

しかし、アメリカは

軍事的には勝利しています。

 

それが戦争としては

敗北したのは何故か。

 

それは一枚の写真が持った

プロパガンダ=政治宣伝の力です。

 

 

1968年、

ベトコン側は戦局の打開を目指し

一斉に南ベトナム各地を攻撃。

 

所謂「テト攻勢」です。

 

その過程においてサイゴンにある

アメリカ大使館を占拠します。

 

この事実が

この戦争の行く末を決定付けました。

 

軍事的には

アメリカ大使館を占拠した部隊は

6時間程で制圧され、

南ベトナム各地を攻撃した部隊も

次々と撃破されていきます。

 

このテト攻勢における敗北以降、

北ベトナム側が

積極的に南進する力は失われました。

 

しかし、

「サイゴンのアメリカ大使館占拠」

というニュースと写真が、

日々テレビに映し出される

凄惨で生々しい戦争の映像と相まって、

国民に厭戦気分を掻き立てます。

 

南ベトナムの首都にある

アメリカ大使館まで占拠され、

「勝てないかもしれない」との感情が

国民に芽生え、

国内の反戦運動は激化、

軍事的には優勢だったベトナム戦争で

アメリカは敗北します。

 

 

湾岸戦争への

アメリカの参戦のきっかけとなった

クウェート人少女の悲惨な証言は、

嘘でした。

 

イラク戦争への

アメリカ参戦の理由付けとなった

核兵器保有の確たる証拠は、

嘘でした。

 

 

人は事実か否かではなく、

イメージに対して

とても感情的になります。

 

その感情を意図的に操作するのが

世論操作、プロパガンダとなります。

 

 

身近な例として企業広告もまた

企業による消費者行動の

操作、プロパガンダです。

 

テレビで納豆が体に良いと

言われた翌日から、

スーパーの納豆が品切れとなる。

 

日常的な需要が全国的に安定している

納豆という馴染みある食材も、

健康というイメージが

一時期的なブームによる需要増を産み、

消費者が納豆に殺到するという

消費行動の変化を産みます。

 

イメージ効果が薄れれば、

消費行動も以前と同じとなります。

 

また、

軽自動車には日本人タレントを、

高級車には外国人モデルが

多く起用されるのも、

日本人の白人に対する潜在的な憧れを、

高級感というイメージに

転換させているものとなります。

 

 

人の感情がイメージに左右されるため、

国際政治においては、

仮想敵国の国民感情を

いかに操作するか、

味方にしたい国の国民感情を

いかに自分たち寄りにさせるか、

が重要な戦略となります。

 

現在、

中国は軍備の近代化を

積極的に図っていますが、

それと同時に

「三戦」として

「法律戦、心理戦、輿論戦」を

重要な戦術として位置付けています。

 

輿論戦とは勿論、

プロパガンダのことであり、

世論をいかに

操作するかというものとなります。

 

 

当然、日本も国内外の世論の動向を

上手くコントロール下におくための

戦術が必要となるのですが、

政治的、外交的、安全保障的にも

日本が巧みにそれを出来ているとは、

思えないのが実情です。

 

専守防衛を標榜している以上、

兵器無き最強武器に関しては、

どの国よりも巧みに

使えなければいけないのですが・・・