現在欧州では

EU懐疑派とEU推進派の

対立が先鋭化しています。

 

欧州における旧西側諸国が、

自由主義や民主主義といった

価値観を共有する共同体を設立させ、

その後東側への範囲の拡大、

移動の自由や

通貨ユーロの導入などでの

連合の深化を図るなど、

横にも縦にも拡大を続けてきました。

 

 

しかし、EU懐疑派は近年勢い付き、

その最たるものが

イギリスのEU離脱

=ブレグジットですし、

最近は欧州各国の選挙において

EU懐疑派の得票数が

伸びる傾向にあります。

 

一方で、

国内でEU懐疑派の勢力が

拡大しつつある中でも、

フランス、ドイツは

EU推進派の代表格となっています。

 

フランスは

EUのより強い結び付きを

提案するなど、

積極的にEUに参画しています。

 

 

・・・という前提を頭に入れながら、

鉄道車両製造メーカーの

ビッグスリーのうちの

2社の統合のニュースを聞くと

思わずツッコみを入れたくなります。

 

 

総合鉄道メーカーの巨人

ドイツのシーメンス社が、

フランスの鉄道メーカーの巨人

アルストム社との統合に合意し、

経営権は

シーメンス社が取るというもの。

 

EU推進派、

国境なんて無くそう!!

経済のより強い結び付きを!!

と主張するフランスとドイツですが、

どちらが経営権を取るのか、

フランスに不利にならないのか!?

フランス企業は

ドイツに駆逐されるのか!?

と戦々恐々となっています。

 

普段の理想論的主張と、

ここ一番での声に

大分開きがあるんですけど・・・(笑)

 

 

しかし、

結局これが現実なのだと思います。

 

理想論として

国境を撤廃して、経済は統合して、

とEU推進派は述べますが、

結局伝統的な「国」という単位には

縛られるんですよね。

 

だからこそ、

EUの統合強化、

移民の受け入れなどを

促進しようとすると、

強い反動が生まれ、

愛国的な投票傾向に繋がり、

EUに対する懐疑的な勢力が

力を増してくるんでしょうね。

 

EU推進派代表格の国において、

結局は企業統合の段階において

「国境」を越えられなかった

現実を見て、

EUの理想と現実を見た気がします。