北朝鮮を巡る事態が日々変化し、

悪化している状況があります。

 

これだけのスピードで

国際関係の緊張の度合いが

増していることは、

単に「通常運行」の

北の暴走なだけでは無く、

流石に危険な兆候と

捉えた方が良いでしょう。

 

しばしば国際政治は

ゲームに例えられますが、

北朝鮮を巡る6か国プレイヤーが

互いのカードの

正しく読み切れているのか

という問題があります。

 

ここで、

安全保障の基本理論に立ち返り、

状況を把握したいと思います。

 

 

「安全保障」という言葉の定義を、

防衛大学校教授の神谷万丈氏は

 

「①ある主体が、

②その主体にとって

かけがえのない何らかの価値を、

③何らかの脅威から、

④何らかの手段によって、

守る」

 

と4つの概念で

構成されると指摘します。

 

この①ある主体は、

それぞれの6か国となります。

 

そこから先、

何を脅威であると考え、

何を守りたく、

その為に軍事的、外交的

どどんな手段を用いるのか、

の段階でそれぞれ異なりますし、

その相手の②③④を

正しく認識しているのかも

重要となります。

 

これが「安全保障」の

基本理論となります。

 

 

一方、戦闘を発生させない為の

「抑止力」ですが、

こちらにも理論があり、

 

相手に甚大な

損害を与える「報復能力」、

その報復能力を使用する「意志」、

状況の重大性や

相手の報復能力、意志に対する

「相互認識」

「抑止の三条件」が揃う事が、

抑止力成立への条件とされます。

 

 

つまり、ここでも相手のカードを

読み切れているのかが

カギとなります。

 

 

北朝鮮は

独裁体制の存続を守るべき価値とし、

その為に核・ミサイル戦力を

抑止力として開発している、

と言われています。

 

つまり、実際にアメリカを攻撃する

目的ではないとされています。

 

一方のアメリカは、

日本人でも韓国人でもなく、

アメリカの国土・国民・主権の

国家の三要件を

守るべき価値と考え、

北朝鮮の核ミサイル戦力を

その脅威と考えています。

 

相手が脅威と考えていると

読むからこそ、

それが相手に対する挑発にも、

抑止力にもなり得ます。

 

 

米朝双方ともに②の

守るべき価値の認識には

大きな間違いはないと思われます。

 

しかし、米朝ともに、

何が相手にとって脅威であるのか、

③の部分に関しては、

正しく認識できていない

可能性があります。

 

それは、ここ数か月の間に

北朝鮮がミサイル発射、核実験と

続け様に実施していること、

アメリカ側の発言に

一貫性が無い事などから

見て取れます。

 

「相手領土にミサイルを撃ち込む」

ことがアウトであることは

分かっていても、

その直前の臨界点を探り合う

危険なチキンゲームとなっています。

 

また、中朝関係に関しても、

中国の国際会議開催に合わせて、

ミサイル発射、核実験を強行しており、

「後ろ盾」を演じてきた

中国の面子を潰していますので、

こちらもギリギリのラインを

探っている最中でしょう。

 

 

日々きな臭くなる

東アジア情勢の中、

明らかな

③北朝鮮のミサイル戦力

の脅威がある中、日本は

「アメリカが守ってくれるさ」

「どうせ今日も北の通常運行」

では無く、

④に関する具体性のある議論を

しなければいけません。