安全保障に関して

話をさせて頂く機会があると、

 

「何故北朝鮮は

あそこまで挑発が出来るのか」

 

という質問を受けたりします。

 

アメリカという

世界の超大国を相手に、

名指しで批判し挑発し、

アメリカが嫌がる

核・ミサイルの開発を進めています。

 

アメリカに睨まれたが最後、

イラクは軍事侵攻され政権は転覆、

シリアも反体制派を公然を支援し

政権転覆の危機に追い込まれました。

 

それが、

明確な挑発をし続けるにも関わらず、

アメリカが軍事行動に踏み切らない

理由の1つは、

安全保障理論に基づきます。

 

 

北朝鮮は、

アメリカ独立記念日に合わせて

ミサイル発射実験を行います。

 

北朝鮮はそれを

「大陸間弾道ミサイル」

と発表します。

 

つまり、北朝鮮から

アメリカ本土まで届くミサイルである、

と公式に宣言しました。

 

これは、アメリカにとって

許容できないものであったはずですが、

アメリカが軍事行動に

出る気配はありません。

 

 

その理由は、

例えばアメリカが北朝鮮への

軍事行動を起こしたとします。

 

制海権、制空権を握るアメリカは、

海と空から大量のミサイルを

北朝鮮の

軍事施設、政治施設に撃ち込み、

開戦30分で戦局の趨勢は

決まるはずです。

 

しかし、一方で

地下に張り巡らされていると言われる

地下通路網の全てを

把握している自信が無い以上、

北朝鮮指導部を壊滅させること、

ミサイル戦力の全てを

破壊することは出来ないとも

理解しているはずです。

 

と、なると、

開戦30分を耐えた後は、

僅かに残ったミサイル戦力による

反撃が始まります。

 

多くは韓国に飛び、

一部は日本にも飛んでくるでしょう。

 

そして

「大陸間弾道ミサイル」を

有する以上、

アメリカ本土やハワイに向かって

核ミサイルが発射される

可能性も出てきます。

 

この一撃は

戦局を一転させるだけの

力はありません。

 

しかし、アメリカに対して

被害を与えるものであることは

確かであり、

その被害への恐れが

軍事行動に対する

最大の抑止力となってしまいます。

 

 

アメリカに嫌われた

「核」「大陸間弾道ミサイル」を

持たなかったイラクの指導者、

リビアの指導者は殺害され、

シリアの指導者も

危機的状況に追い込まれました。

 

シリアの指導者が殺害を免れ、

今は勢力を取り戻しつつあるのは、

「核」と「ミサイル」を

公式に保有するロシアの

全面的な支援を

取り付けられたからです。

 

アメリカが敵と名指ししつつ

未だに体制が維持されている

イランもまた、

ロシアとの関係は深く、

そのような国際政治、

国際安全保障の状況を見た時に、

最も確実な生き残る方法は、

アメリカが最も嫌う

「核」と「大陸間弾道ミサイル」を

保有すること、と

北朝鮮が考えることは

合理的結論と言えます。

 

 

核兵器を「打つぞ」と

脅すことで成り立つ平和。

 

狂気の世界ですよね?

 

はい、安全保障上の理論で

MAD」と呼ばれています。

 

 

核攻撃の打ち合いによって

破壊される危険から、

結果として軍事行動が取られない、

という理論の

相互確証破壊

という英語の頭文字を取った理論で、

狂った世界の静かな平和を表す

最適な言葉となります。