ロシアでは

「プーチン大統領との直接対話」

という企画が定期的に行われ、

テレビで生放送されています。

 

何百万件という質問が

世界中から寄せられ、

それに大統領が

直に答えていく番組で、

先日はその番組で

プーチン大統領が初めて

自身の孫の存在に言及したりと

盛り上がったようです。

 

 

この番組の抜粋ですが、

私も何回か観ています。

 

この番組の面白いところは、

恐らく全ロシア中の役人たちが

肝を冷やしながら

見ているであろうことが分かる所。

 

例えば、

「公営住宅がこんなに酷い」

「道路がこんなに酷い」

など窮状を直接大統領に

訴えることが出来ます。

 

つまり、役人の怠慢を

大統領に直接訴えることが出来る

機会なんです。

 

それに対し、

 

「すぐに対処させる」

「私はすぐ貴方の所に

その惨状を見に行きます」

 

などとプーチン大統領は応じますが、

番組終了数時間以内に、

道路の舗装工事が始まったり、

訴えた人の所に役人が駆けつけ、

問題対処にあたったりするようです。

 

 

これ、

プーチン大統領が現地に行き、

叱責される事態になれば、

もはやその人の人生に

未来は無くなりますからね。

 

 

人事権とは、

将来に対する恐怖をテコに

人々を動かす原動力である。

 

それをまさに気持ち良い程に

体現しているのが

プーチン大統領(笑)

 

人は

「心地よく」か「恐怖」を

原動力によく動きますが、

必ずしも全ての人が

「心地よく」「道徳的に」「善の心」で

働く訳ではありません。

 

その理想を追い求めれば、

人事権は形骸化し、

組織も緩んできます。

 

悪徳に身を置くもの、

怠慢に生きるものを

正しく動かす手段は、

現実的には恐怖となります。

 

 

住民が窮状を直接訴える

「目安箱」的な企画を通して、

役人には不正や怠慢が

暴かれる恐怖を与え、

それに対して大統領自らが即行動し、

スケープゴートとされる

悪徳役人の将来を奪うことで、

他の悪徳役人に絶望を与え、

戒めとさせます。

 

ロシアには

役人の不正、裏組織の暗躍、

野党勢力の抑圧など、

問題は多々あります。

 

しかし、一方で

議会選、大統領選ともに

圧勝するだけの人気を保っている

側面もまた事実。

 

それは大統領自らが、

国民の声を直接聞く

徳川吉宗的企画を通して、

分かりやすいまでに

人事権を担保に

悪徳怠慢役人を懲らしめる、

水戸黄門的演出をしているから。

 

勧善懲悪物が人気なのは

世界共通といった所でしょうか(笑)

 

 

役人に訴えるよりも

大統領に直接言う方が早い。

 

不満解決の最高権力者。

 

それを「人気取り政策」と

批判も出来るでしょうけど、

それで問題が解消され、

実際に役人の怠慢が

暴かれるのであれば、

人気取りも国民の為にもなります。

 

国民は、

不正役人のお頭、

信頼出来ない怠慢政治家の頭目を

トップに迎えたい訳ではありません。

 

そんな日常的な不満を

解決してくれるリーダーを

待っています。

 

「どうせ政治家なんて」

の言葉は世界中で聞かれます。

 

そんな国の政治家のトップたちより、

プーチン大統領の

政治生命の方が長い理由は、

絶望を解決してくれる印籠を、

毎週見せてくれるご老体と

似た権力行使を、

国民に見せてくれる所にも

ありそうですね。