21世紀の

安全保障の世界を考察する上で、

非常に重要なキーワードに


「非対称戦争」


というものがあります。


逆に何が

「対称」なのかと言えば、

国家間同士、

同質の戦力、戦略による

戦闘となります。


一方、「非対称戦争」とは、

戦力差が大きかったり、

そのために戦略が

まるで異なった集団による戦争、

または一方が国家で

他方が非国家主体での戦闘であり、

ゲリラ戦やテロとの戦いなどが

それにあたります。


第二次世界大戦などは

対称ですが、

ベトナム戦争や

現在のISとの戦いは

非対象戦争となります。



現在、国家同士が

戦争を起こす危険性は

格段に減少していますが、

その一方で

テロ組織や武装勢力との間の

「非対象戦争」が多発しており、

21世紀の安全保障の

重要な論点となっています。



本日、

イギリス議会議事堂が襲撃され、

犯人を含む4人が死亡しました。


犯人は過激思想に

染まっていたと言いますが、

犯行に使われたのは

自動車とナイフのみで、

国家中枢である議会開催中の

議事堂への接近を許し、

犯人1人がナイフで

警備の警察官まで

死傷させています。


この事を考えれば、

これが訓練を受け

重火器で武装した

武装集団だった場合、

5人~10人も居れば

議会は一時期的ではあっても

落ちたでしょう。



非対称戦争の時代、

戦場は遠く離れた戦地のみ、

という一般的な

戦争の概念は通用しませんが、

どうしても

前線では無い国内は安全、

との油断は生じてしまいます。


対テロ戦争を支援する英国でさえ、

ナイフしか持たない犯人に

議会への接近を許しています。


これが日本だったら、

より簡単に永田町は

混乱に陥るでしょう。



現在、日本では

敵地攻撃能力に関して

保有が検討されています。


北朝鮮の

ミサイルの脅威が高まる中、

敵地攻撃のオプションを

保有することは

非常に有意義だと思います。


実際に使う、使わないは別にして、

オプションを保有していることを

内外に示すことは、

抑止力の基本となります。



しかし、

国家間戦争の危険性が

低下していく中、

現実的な「今そこにある危機」は

北に限らず、

訓練された工作員の侵入を

許した後のゲリラ戦、

非対称戦となるでしょう。


敵地攻撃オプションの検討も

重要課題ではありますが、

21世紀型の

安全保障環境に対応した

首都、重要施設の

防備体制の強化と

即応力の向上、深化こそが

喫緊の課題であると、

再認識した

本日の英国の悲劇でした。