私が育った町は、

LAの中でも

治安の良い街として有名です。


多くの日系企業の

北米進出拠点にもなっており、

日本人も多く住む、

日本人には住みやすい

街となっています。


隣町に行くと途端に、

商店の窓には

鉄格子がはめられていますが、

実家の町では

ガラス張りのままだったりします。


とは言え、そんな街でも

ギャングやマフィアは存在し、

その下部組織、予備軍などが

高校に入り込んでいます。



私が通った高校は、

ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』の

撮影に使われた伝統校ですが、

市内にある公立高校の中では

日本人が少なく、

ギャングなどが闊歩する高校でした。



数年前に閉店するまで、

私の実家滞在最終日は

毎回市内の中華レストランの

テイクアウトでした。


その店は高校時代から

よく通っていましたし、

母も知人とよく使う

レストランでした。



そんなレストラン、

高校時代のある日、

私と友人のL君が2人で行くと、

彼は店員と笑顔で談笑し

厨房に入っていき、

暫くすると席で待つ私の所に

料理と共に現れます。


彼も常連だったんだ~、


なんて呑気に思っていたら、

会計もせずに店を出ます。


J「お金は?」


L「うちの組織の店だから

良いんだよ」


とサラッと(笑)


LAだけで数千人を動員出来る

巨大組織の店でした。


なお、L君はその組織の

なかなかの身分。


その彼に、

「学内ではウチがお前を守る」

と言われます。


心強い言葉ですが、

私が学内で殴られた経験は

L君にの1回だけ・・・


なお、私はL君を

2回殴ってますので、

殴った回数では勝ってます(笑)



市内で生活をしていて、

ナイフを突きつけられたこと、

ギャングに取り囲まれたこと、

警察に取り囲まれたこと、

色々とありますが、

基本的に私の

安全を保障するのはL君。


私に手を出そうとした

眼つきの悪いギャングも、

その日のうちに

眼つきの柔らかい少年へと

去勢されてました。



色々な民族が

ギャンググループを組織する

アメリカにおいて、

後ろ盾となる「実力」の存在は

安全に生活するための必要悪でした。


警察の力は、

日本よりははるかに強力ですが、

それでも裏社会全ては

カバーしきれませんからね。


事件が起きてから

役に立つ警察よりも、

自分の周りで

事件を起こさないための後ろ盾、

それが移民大国において

民族系ギャングの

存在意義かもしれません。



勿論、ギャングですので、

専守防衛だけでは無く、

攻撃的要素も

多分にありますけどね・・・



色々な民族が混在する

「小さな世界」

のようなアメリカ社会。


パワーバランスと

同盟関係が重要な

国際政治・国際安全保障が

そこにあります。


表向きは治安の良い

日本企業の多い実家の町ですが、

現実的にはギャングやマフィアの

パワーバランスは存在します。


そんな街で、

しかも裏に近い場所で

十代を過ごし、

パワーバランスと同盟の

重要性を見て来たことが、

大学院以降の

安全保障研究に繋がります。



最後となる実家滞在の中、

家の整理の途中で

高校のイヤーブックや、

高校を眺めながら、

毎晩のように

ギャングの友人たちと

LAの街を暴走したり、

遊んでいた思い出を

思い返していました。