どんな境界であれ

存在する差別意識が、

紛争や戦争へと繋がるには

大きな要因が必要となります。


それは「情報」と「武器」です。


一般的に相手への情報不足が

悪意ある差別を

生むと言われますが、

実はこれ逆なんです。


60年代のアメリカの調査において、

アメリカ南部での

黒人差別は有名ですが、

アメリカ北部では

黒人への差別意識は低く、

今度は逆にアメリカ北部では

根強かったユダヤ人差別が、

アメリカ南部では低い

という調査結果があります。


つまりアメリカ南部では黒人の、

アメリカ北部では

ユダヤ人に関する情報が、

普段から接しているだけに

他の地域よりもあるので、

それが差別を生む要因になるんです。


遠い存在の人を差別するほど、

人は無駄な労力をかけない、

とも言えます。


近い存在だからこそ、

良い情報だけでなく、

悪い情報もまた増幅されて伝わり、

差別を助長することになります。


「あいつらこんなことをしやがった」


のような情報、

様々な境界においても、

やはり耳にしたことが

あると思います。


その時、近い存在だからこそ、

想像が出来

「あぁ~確かに!!」

と思うのであって、

遠い存在ならば

「へぇ~」

で終わるんですよね。



この「こんなことしやがった」を

巧みに活用するのが

「プロパガンダ」の世界です。


ナチスドイツの宣伝相ゲッベルスは

情報活用の鬼才でしたが、

プロパガンダを用いたのは

彼だけでは無く、

アメリカもイギリスもソ連も日本も

また同様でしたし、

それは現在進行形の

国際関係においても

各所で使われています。


それに接した私たちが、

それをプロパガンダと

気付いているかいないかは別にして。



元来、内側における

仲間意識を高める存在だった境界が、

その副作用として持つ

差別意識ですが、

それを巧みに操ることで、

境界の彼方に対する

恐怖を生み出します。


映画『スターウォーズ』において、

ヨーダは


「恐怖は怒りを、怒りは憎しみを、

憎しみは苦しみを導く」


との名言を残しますが、

まさに境界の内外に

恐怖を植えることが、

それによって

利益を得るものにとって、

戦争の悲劇を開花させる

第一歩となっていきます。