北朝鮮が今年に入り、

連続して短距離、中距離の

ミサイル発射を強行しています。


そして、8月に秋田県沖の

日本の排他的経済水域に

ミサイルの一部が落下したことで、

緊張のレベルが

一段上がりましたが、

先日、さらに北海道奥尻島沖の

日本の排他的経済水域に

3発が落下、

「異常な事態」が

「通常化」しつつある

危険な事態となっています。



では、

危険だ、止めて欲しい、

と思っている時に、

日本が取れる行動は何かといえば

「遺憾」の意を

表明するくらいになります。


既に高いレベルの

経済制裁を課していますし、

それすらも

実効性の乏しいものですから、

実質的には何の行動も

起こしていない状況となっています。


では、北朝鮮や、あるいは中国が、

さらに一段上の

挑発行動、軍事行動を

日本に対して起こした場合、

日本は何が出来るでしょうか。



明白な侵略行為、

例えば軍隊が日本の

「人が住む」領土に上陸、

などの場合は自衛隊による

反撃が行われるでしょう。


無人の離島への武装漁民の上陸

でも対応は必要ですが、

自衛隊が出動するかは不明です。



一方、無人島へのミサイルの着弾、

などでは、

現在進行形で事態が進行し、

即時の反応が求められる

事案とは異なり、

事態は既に終了しています。


このような場合、

日本が反撃を行うとは考えにくく、

そうなれば日本海への着弾同様に

「遺憾」を述べるに留まるでしょう。


さらに、そのミサイルが

日本国民を

殺害するに至ったとして、

日本は動けるでしょうか。


1956年の

鳩山一郎内閣の政府見解でも、

ミサイル攻撃に対しては、

敵地攻撃は自衛の範囲内

としていますが、

1972年の田中角栄内閣では、

自衛の範囲は自国内としており、

敵地攻撃に対する

見解は一致していません。


(詳しくは拙著

『日本人が知らない日本の安全保障』

p161~)



また、左派は日本国憲法の

「国の交戦権は、これを認めない」

の9条2項を持ち出し

敵地攻撃に反対するでしょう。


と、なれば

宣戦布告をして攻撃する事は

まず無いにしても、

ミサイル発射拠点、

移動発射台を攻撃するという

選択肢も実質的に

日本は持っていないと言えます。


そして米軍が日本に代わって

懲罰的に攻撃を

してくれるかと言えば、

その可能性は

ゼロに等しくなりますので、

例え死者が出たとしても、

直接的な軍事侵攻でない限り、

日本が持つオプションは

「遺憾」を

言い続けることになります。


そして国連安保理などに

訴えることになりますが、

今までの北朝鮮の

ミサイル発射、核実験を

抑止できたことの無い国連安保理に、

「非難決議」以上の

期待は出来ません。



これが、

「平和憲法」が生んだ状況です。


反撃する意図と

法整備が整っていない以上、

相手にとっては、

直接的な侵攻によって

反撃される以外では、

ミサイルを撃ち続けても、

自分たちに被害が

出ることはまずないと高を括れます。



「やったらやられる」


この怖さが、

安全保障には必要なのです。


反撃のオプションの無い

今の日本では

「遺憾」が

最大の攻撃手段になっていますが、

私は「敵地占領」では無い

「敵地攻撃」への法整備が

「自衛の範囲」として

必要だと思います。