「マニフェスト・デスティニー」

という言葉があります。


この言葉を知らずして、

アメリカの安全保障は語れない、

というキーワードです。


「明白なる使命」

を意味するこの言葉、

「民主主義=文明」を

未開の地に広げることは、

アメリカに与えられた天命である、

というとても有難迷惑で

お節介な思想です。


これはアメリカが

ネイティブアメリカンを

殺害し続けながら

西へと国を広げていった

思想的説明となります。


未開の住民である彼らに、

西洋化=キリスト教化、民主化

させていく事は正しい事である、

と一部は表向きの正当化として、

そして一部は本気で

そう信じて行動していきます。


この思想は

現代にも生きているため、

「民主化」は

彼らが軍事介入を行う際の、

非常に重要なキーワードとして

用いられます。


現代でも、

表向きの正当化だけでなく、

本気でそう信じている

国民が多いのも実態です。



2003年のイラク戦争時、やはり

「マニフェスト・デスティニー」は

語られましたし、

「民主化」の旗印の下で、

リビア、シリアに介入しました。


その結果、無政府状態となり、

ISを生み、

億単位の難民を生みます。



2001年の9月11日、

多くのアメリカ人は

何故アメリカが攻撃されたのか、

理解できませんでした。


何故なら、

彼らが行ってきたことは

善行だからです。


その後、彼らが起こした戦争、

介入した紛争も、

未開の地の西洋化に

続くはずの善行でした。


平和の神アイリーンとして、

民族、宗教、

部族対立のある地に、

悪の長を退治しに

行ったつもりでした。


しかし、長を排除した結果、

重しの無くなった

イラク、リビアでは

各勢力の対立が終わらなくなり、

シリアやエジプトも大混乱に陥り、

中東、北アフリカ全体を

不和の渦の中に陥れました。


自らをアイリーンと

信じたアメリカ、

しかし、その実態は

不和と争いの女神エリスだった、

ということですかね。


エリスには

次々と戦争を引き起こす

軍神アレースという兄がいますが、

アレースが突然来て

戦争を起こし、

エリスが不和の種だけ

残して消えた・・・


逆から見ればアメリカは

この兄妹のような存在ですかね