アゼルバイジャン西部には、

アルメニア人が多く住む

「ナゴルノ・カラバフ」

地域があり、伝統的な

両国の係争地となっていました。


現在でも同地域は

アゼルバイジャンの

支配が及ばない

「事実上独立した地域」

となっており、現在両国が

戦闘状態となっています。


この「事実上独立した地域」とは

正式な呼び名で、

「独立国」

「独立主張のある地域」

中間に位置します。


一定数の独立国から

国家承認は受け、

国家の三要件「領土、国民、主権」も

一定以上満たしているものの、

広くは「国家」と

認められていない地域を指します。


私たちに馴染みのある地域としては

「中華民国=台湾」があります。


台湾は国連加盟国193か国の内、

21か国からの承認のみであり、

「事実上独立した地域」

として認識され、

残念ながら日本も

未承認となっています。



さて、国家には

「独立国」

「事実上独立した地域」

「独立主張のある地域」

があるのですが、

国連加盟国からの承認に関しては、

例えば日本は国連加盟国の

朝鮮民主主義人民共和国=北朝鮮を

承認していません。


しかし、北朝鮮は独立国ですし、

パレスチナは

国連加盟国136か国から

承認されていますが、

「事実上独立した地域」として

扱われていますので、

どこまでいけば独立国であるのかは、

なかなか難しい問題のようです。



また、外交を行うことは

国家の主権に関わる問題ですので、

外交権の存在は、

独立国か否かを問う上で

非常に大きな問題となります。


「クック諸島」は

南太平洋にある島国で、

軍事・外交の最終決定権、

並びに国民の国籍は

ニュージーランドにありますが、

国連加盟国31か国が

独自の外交関係を築いており、

日本も2011年3月、

国家承認を行い

外交関係を有しています。


あまり知られていないのは、

東日本大震災直後の

3月25日だったからですかね。


国連非加盟で、

国民はニュージーランド国籍という

「国」ですが、

英国におけるスコットランドや、

米国におけるプエルトリコ

などとは異なり、

「国家」として認められています。



一方、面積0.44平方キロで

世界一小さいと言われる

バチカン市国、

国連非加盟ですが、

勿論外交関係を有する「国家」です。


そんなバチカンよりも小さく、

0.012平方キロを正式に有し、

国連オブザーバーでもあるのが

マルタ騎士団。


ロードス島、マルタ島を

かつて有した騎士団で、

現在も存続し、

その総長はカソリックの

枢機卿でもあります。


国連加盟国104か国と

外交関係を有しますが、

こちらは日本未承認。


多数の国家との外交関係を有し、

国連にも正式に参画しますが、

「国家」では無いようです。



「独立国」と

「独立主張のある地域」は

簡単なのですが、

「事実上独立した地域」や

クック諸島、マルタ騎士団などは、

「国家」を考える上で難しいですね。


なお、

「事実上独立した地域」ですが、

先の「ナゴルノ・カラバフ」

もそうですが、

モルドバにある

「沿ドニエステル共和国」、

ジョージアの

「アブハジア共和国」、

「南オセチア共和国」、

ウクライナの

ドネツクやルガンスクなど

旧ソ連邦地域が

その多くを占めます。


今は無きソ連の置き土産が、

各地で紛争の火種となっています。