塾講師をしていた頃、

私は塾のカリキュラムを

適当にこなした後、

私個人が作成した

社会科資料を使って

授業をしていました。


中学受験コースでしたが、

高校受験以上のレベル、

という授業内容で、

社会科偏差値上昇率は

私の授業が

全国の教室で1位となりました。


ま、当然と言えば当然ですね~


小学生に高校レベルの内容を

課したんですから(笑)



授業内容は鬼ですが、

私自身が

茶髪にピアスや指輪で

机に座って教えたり、

塾で禁止されてる授業中飲食を

私の独断で解禁したり、

授業の最後10分ほどは

私が考案した経営ゲームを

みんなでやるなど、

緩過ぎるくらいの雰囲気でしたので、

課題の割には苦痛なく

授業を受けていたと思います。


だからこそ生徒の一部は、

その後の高校生向け

時事問題小論文の授業にも

空いてる席に座って

聞いてましたからね~。



さて、そんな私が作った

社会科教材に、

漢字国名テストがあります。


西班牙、新西蘭、瑞西、

仏蘭西、露西亜、など

世界数十か国の国名を

漢字で表記し、それをどこの国か

書き出すテストです。


これは教えたものを

テストするのではなく、

いきなりテスト、

というかクイズの紙を渡して

生徒たちにやらせました。



目的は2つ。


まずは単純に

そういう国名の国が

あることを学習する。


マイナーな国になると

小学生ですと国そのものを

知らなかったりしますしね。


そしてもう1つは

「考える力」があるか否かを

見極めることと、

それを育むことです。



教えられた内容を暗記し、

それを答案に書けば、

確かにテストはこなせます。


しかし、そこには

思考力は全く必要ありません。

ただ記憶力があれば良いだけです。


それに慣れてしまった生徒は、

これらの問題を見た時に、早々に


「せんせ~い、わかんな~い」


となります。


一方、普段の成績は悪くても、

思考力のある生徒は、

必死に漢字の大軍と格闘します。


この国名たち、1つが解ければ

次々と解ける

パズルになっているんです。


仏蘭西=フランスや

露西亜=ロシアは

何となく小学生でも分かります。


そうすると、


「西」が「ス」「シ」などサ行


であることが分かります。


すると、

瑞=ズイ+西なので

「スイス」は導き出されますし、


「蘭」=ランならば

「新西蘭」は新シランにまで

辿り着けるでしょう。


後は「新」を

発想の転換が出来れば

「ニュー」と読み、

「ニュージーランド」となります。


西班牙=スペインも

「ス」で始まる国名を

考えていく中で見付けることが

出来るかもしれません。



そこでホームズやポアロ並みの

推理力を発揮し、

見付けた答えの国名には、

思い入れが生まれ、

忘れることはありません。


ある日の授業の大半を潰して、

30分以上このテストに

時間を割きましたが、

成績は良いのにほぼ白紙で

答え合わせを待つ生徒、

成績は悪いのに

最後まで必死で考え、

答えを聞いて盛り上がる生徒、

色々といました。



大学受験まで通して見ると、

あの時興味を示して

楽しみながらも

必死で思考を働かせた

生徒たちの方が、良い大学に

入っていったんですよね。


記憶力よりも思考力、

育てるべきはそちらだと思います。