暫く前から

フランスとサウジアラビアとの間の

軍事的大型契約のニュースを

聞くようになりました。


フランスのオランド大統領が

直々に何度もサウジを訪問し、

直接営業の結果、

フランス製のラファール戦闘機の

大量受注を勝ち取っています。


景気低迷にあえいでいた

フランスにとっては

非常に明るいニュースで、

フランスのニュースでも

トップで報じられる成果でした。


戦闘機を売ることが

景気対策の明るいニュースになる、

それが世界の現実です。


また、サウジは

欧州4か国が設立した

ユーロファイター社の

タイフーン戦闘機も購入しています。



サウジアラビア空軍と言えば、

1950年代から

アメリカの支援を受けており、

アメリカのF-15戦闘機の

大量保有国として有名です。


専制とも言える

国内の閉鎖的な体制も、

アメリカとの関係が密だからこそ

攻撃の対象とはならず、

中東におけるアメリカの基地的役割を

担ってきたサウジですが、

ここに来て欧州との関係を

軍事的、経済的に深めています。


このニュースを読み解く

カギになりそうなのが、

一方の経済ニュースです。



原油価格が

1バレル50ドルを切るような

安値が続く中でも、

サウジは原油の増産を続けており、

さらなる価格の低下を招いています。


この自滅のような政策の裏には、

アメリカが進めたい

シェールオイル革命への

対抗措置の意味合いがあります。


アメリカはこの

シェールオイルを通じて

OPECの優位性を

削ごうと画策していますが、

採算ラインは

1バレル50ドル弱と言われています。


そのような中で

サウジが原油の増産を決め、

原油価格が下落すれば、

当然アメリカはシェールオイルを

掘るほどに赤字となっていきます。



このサウジの原油増産のニュースと

ラファール戦闘機購入のニュースは

連動します。



当然アメリカの反感を買う原油増産。


そうなると、

アメリカに依存する安全保障体制は

不安定となりますが、

莫大な資金を背景とした大型契約で

フランスと軍事的、経済的に

繋がっていれば、

外交チャネルは

広がることになります。


サウジを巡る複数のニュースも、

安全保障という切り口から

1つに繋がる。



国家戦略とは

このようにしたたかに進めなければ、

弱肉強食の国際社会を

生き抜くことは出来ません。


流石アラブの商人だなぁと

改めて思いました。