「戦争放棄をしたのに、

 何故自衛隊があるのですか」


「何故国は戦争法案を

 通そうとするのですか」


などの質問を受けることがあります。


法的根拠や自衛権の話しは

難しいですが、

「戦争」と「戦闘」の違いについて、

少し考えてみたいと思います。



ケース①


イノシシによる農作物の被害に

苦しむ村があります。


村議会が山のイノシシの駆除を決議し、

猟友会と共に山に分け入り、

次々とイノシシを駆除していきます。



ケース②


イノシシによる農作物の被害に

苦しむ村があります。


村の男たちが

夜の見回り自警団を結成し、

爆竹やこん棒を持って、

畑を荒らすイノシシを追い払います。



これが全く同じものと思う人とは、

恐らく価値観が異なりますので、

それ以上の説明は

難しいかと思いますが、

単純化すれば

ケース①が「戦争」であり、

ケース②が「戦闘」です。



「侵略戦争」であれ「自衛戦争」であれ、

戦争には手続きが必要となりますし、

抱える問題解決を

武力に頼るのが戦争です。


この中でも、「自衛戦争」に関しては、

日本国憲法でも

認められているとされています。


一方の「戦闘」ですが、

自らの意思に反しても発生します。


イノシシが畑に来なければ

問題は無いですが、

イノシシが畑を荒らしている以上、

爆竹などで追い払おうとする

「武力行使」は行われます。


このイノシシやクマに

遭遇するケースに備え、

鈴を持ったり、爆竹を持ったりすることを

動物の殺戮のためと言う人は

少数派だと思います。



現在、世界中で戦闘が発生しています。


イラクでシリアで、

ISが突如街を襲撃し、

多くの人々が殺戮されています。


それに抵抗するために、

地元部族も銃で応戦したりしています。


住民らは「戦闘」を実際に行っていますが、

平時でも人を殺そうと

虎視眈々と機を狙う

「好戦的」な人々で

「戦争」を行っているでしょうか?


ISが襲撃しなければ、

戦闘さえ発生しなかったはずです。


そして、無抵抗ならば

ISは命を奪わなかったでしょうか?


無抵抗の都市でも

虐殺が実際に発生しています。


住民は戦った上での死か、

無抵抗での死かを

選ばされている状況となり、

「戦闘」が発生しています。



日本では、「戦闘」=「戦争」と

非常に幼稚かつ危険な

カテゴライズをする傾向があります。


「戦争」を望まなくても

「戦闘」に巻き込まれるケースは、

国家間の戦争でも、

ヤンキーに街で絡まれる場合も、

農作物を荒らす

イノシシに遭遇する場合も、

色々な場面、レベルで発生します。



どこまでが自衛兵器で、

どこからが攻撃的兵器なのか、

これについては議論の余地は

大いにあると思います。


しかし、日本企業が

国際展開を行うようになり、

実際に治安の悪い地域での

活動も増えている中、

彼らがテロリストなどに襲撃された際、

救助に行くことも「戦争」。


海賊に襲われている商船を

助けに行くことも「戦争」と

レッテルを張り、

日本は戦争をする国家を目指している、

などと煽動することは、

戦争と戦闘の違い、

国際社会の現実など、

何も知らないことを

露呈しているだけとなってしまいます。