「Speak Softly and carry big stick」

「棍棒を手に持てば、

 穏やかな口調でも通る」


とは、元は西アフリカの諺のようですが、

この言葉を有名にしたのは

第26代合衆国大統領

セオドア・ルーズベルトです。


ここから「棍棒外交」と言う

外交方針が打ち出され、

アメリカの外交方針の主軸となっていきます。


つまり、圧倒的な武力を背景にすれば、

言葉は穏やかでも相手は言う事を聞く、

外交が自国有利にスムーズに進むと言うこと。


理想的ではないかも知れませんが、

これが外交の現実でしょうね。



この「棍棒外交」と共に重要な言葉は

「プレゼンス」。


「存在感」と言う意味ですが、

軍事力・経済力を背景にした

その国の特定地域における存在感を

国際政治の世界では意味します。


アメリカには、

「モンロー主義」と呼ばれる

伝統的な孤立主義政策がありますが、

棍棒外交以降、

基本的には介入主義となっていました。


これを変えたのが現合衆国大統領。


「アメリカは世界の警察では無い」

と断言するとは、世界が驚きましたし、

実際にイラクからの撤退、

アフガンからの撤退準備など

アメリカのプレゼンスは各地で弱まりました。


一方で、リビアやシリア、ウクライナなどの

政変にちょっかいは出してみたりもします。



プレゼンス、ようは棍棒が無くなれば、

そこには混乱が生まれます。


「警察」と自認していた国が

「警察では無い」と言う、

ようはある街から

突然警察署が無くなるのですから、

泥棒には天国が生まれます。


その結果生まれた世界は、

2010年からのアラブの春で

民主化を達成した国は良いですが、

良し悪しは別にして安定していた

エジプトやリビアに大混乱をもたらし、

イエメンやイラク、シリア、アフガンなど

テロが横行する地域を生み、

ここ最近でも

西側が不用意に近づいてはいけない

ウクライナに手を出し米ロ対立を生み、

イラクでは国家存亡の危機。


引くべきでは無い場所で手を引き、

出してはいけない手を出して

混乱を引き起こし、

世界の警察止めます宣言した人が

世界の平和に貢献した

ノーベル平和賞受賞者なんですから、

世の中って複雑なものですね。