陸上で国境を接することの無い

日本人にとって、

国境線という概念は

少々想像が付きにくいものかも知れません。


そこに明確な線がある訳でも無く、

必ずしも地形に沿って存在する訳でも無く、

机上にある存在でしかないのだと、

世の現実は突き付けます。


現在、イラクではスンニ派の反体制派が

首都バクダッドへ進軍しています。


フセイン元大統領の

出身母体がスンニ派ですが、

イラク戦争後、対立宗派のシーア派が

政権を牛耳っています。


それを主導したのは米国ですが、

米国がイラクから撤退し、

スンニ派の元アルカイダ組織が

北から進軍しているのですから、

平和とは武力を背景とした

抑止力の上で築かれる、

と現実を見せつけられます。


この武装組織、

隣国シリア北東部も勢力圏に入れており、

シリア北東部からイラク北部にかけては、

事実上彼らの統治下にあります。


イラクの武装勢力じゃないの??

と考えてしまうのは、

我々の想像力が国境なんていう

机上の論理に阻まれているから。


現実的にはそこには

土地が広がっているだけですもんね。


この組織、対立する人間は

首を斬るなどの残虐行為で有名で、

シリアの反体制派がまとまらなかった

最大の理由が、

この組織と他の反体制派の対立にあります。


そして、エキセントリックだからこそなのか、

中東だけでなく、欧州の白人の若者なども、

続々とこの組織に加わり、

勢力を拡大しているとか。


バクダッドが陥落すれば、

彼等は国の一部を占拠する

「反体制派」ではなくなり、

イラクの中枢からシリア北東部に広がる

事実上の国家が

成立するとさえ言われています。



国境と平和、共に日本人にとって

勉強不足の分野なんだなぁと

非常に怖い現実を前に

改めて実感しています。