夏季オリンピック・パリ大会が始まった。開会式前に競技が始まった男子サッカーの大勝(対コロンビア 5-0)で勢いがつくかと思ったが、本格的に競技が始まった開会式翌日は男子団体球技(バレー・バスケ・ハンド)すべてが惜敗というスタート。特に金メダルが期待されている男子バレーボールは格下ドイツにフルセットの末敗れるという結果。やはりオリンピックの舞台は独特の緊張感があるのだろう。また、ヨーロッパでの大会は観戦が難しい。決勝種目が集中する現地の夕方から夜は、日本の深夜から明け方にあたる。まさに、寝不足との戦いである。アテネオリンピックの冨田選手の「栄光への架け橋だ!」の着地は朝の6時半頃だったから、夜中3時起きである。若い頃と違って体力は衰えている。極力睡眠時間を確保しながら、生中継を厳選して臨場感を味わいたいと思っている。
一方、地球全体が平和の祭典に酔っているわけではない。ロシアのウクライナ侵攻は続いているし、パレスチナとハマスの争いも絶えない。NHKは、オリンピック前、NHKスペシャル「戦禍のオリンピック 〜密着180日 対立と分断の舞台裏〜」(7月7日)、映像の世紀・バタフライエフェクト「オリンピック 聖火と戦火」(7月22日)を放送した。前者は日本人として唯一オリンピック競技種目の国際機関で会長を務める国際体操連盟会長・渡邊 守成氏の奮闘を中心に構成。後者は近代オリンピックの父・クーベルタン男爵が込めた平和への理想と離れ、いかに国家がオリンピックを利用してきたかという歴史を描いていた。実体験としては、1980年のソ連のアフガニスタン侵攻に端を発した西側諸国のモスクワオリンピックボイコット(日本も追従)。1984年のロサンゼルスオリンピックへの東側諸国の不参加、という大会があるが、観る側の感覚として(モスクワは放送すらなかったが)、競技を純粋に楽しんでいたように思う。今はネット社会であり、多くの競技は配信でも見ることができる。一方、紛争地帯の情報も毎日のように流れている。純粋に大会や応援に集中できるか、というと、以前とは感覚が異なっているような気もするのである。
とはいえ、リアルタイムで競技を見れば、手に汗握って声を出して応援する。いよいよ今夜は男子体操・団体決勝である。予選では、負傷明けの橋本選手が思うような演技ができない中、若い岡選手、スペシャリストの杉野選手は、伸び伸びと完璧な演技で踏ん張った。ここに、萱選手と谷川選手が加わり、総合力で東京の雪辱を果たす戦いである。ポイントは、予選の不調から橋本選手がいかに立ち直るか(特にメンタル面)。そして、キーマンは谷川選手。最年長が屈辱を晴らす舞台はここしかない!パリの空に、体操ニッポンの栄光が再び訪れることを祈りながら、LIVEで応援するのだ。パリで輝け!体操ニッポン!!