「お義父さんが胸が痛いと苦しんでいる。救急車を呼ぶ!」という妻の判断は正しかった。
救急車内では「心筋梗塞」との診断が下され、心電図や血圧など救急車内での検査データは、搬送先の県立医科大学附属病院・救命救急センターと既に共有されていた。
搬送当時、自宅には父・母・妻・息子の4人がいた。
国道(舗装道路)から自宅前までの砂利道(約100m)は道幅が狭く、救急車が入れない。かろうじて動ける父を息子の軽自動車に乗せ、国道まで移動。救急車には妻が同乗し、息子は自分の車で搬送先に向かった。89歳の母を一人自宅におくのは心配だが、やむを得ない。夕飯の準備はできていたので、先に食べて連絡を待つように伝えた。
父の病院関係の書類(診察券やお薬手帳など)は、常に一つのバッグにまとめてある(これは母についても同様)。これにより妻から救急隊員に情報は提供され、医大病院に到着する前に情報共有が完了していた。
ここまで、すべて妻の指示によるものである。極めて適切と感心する。
参加していた会議に区切りを付け、私と妹が病院に駆けつけたとき、ちょうど担当医からの説明が始まるタイミングだった。
・心臓には太い血管が3本あって、その1本が詰まっている。
・心臓全体は動いている。詰まっている部分が動いていない。
・手首からカテーテルを挿入し、ステントにより血管を広げる。
手首から上手くかない場合は、そけい部(足の付け根)から試みる可能性もある。
・高齢でもあり、想定外の事態が起きた場合は、すぐ家族に相談する。
説明では、心臓のエコー画像が示され、素人にも心臓の動きがわかった。前述のような救急車内でのデータ共有の様子が話された。手術に必要な書類を記入しながら、経過の説明を待つこととなった。
「2時間くらいみてください」という医師の説明であったが、30分ほど経過した段階で、「上手くいきました。血流が回復しました」という報告があった。術後の入院等の説明をしていた看護師も現場に戻り、慌ただしくCCU(循環器系疾患集中治療室)への入院手続きが続けられた。
この段階で自宅に電話をして母に状況を説明し、息子を一足先に自宅へ帰すこととした。した。母も脳梗塞を経験し、歩行の衰えも目立ってきている。深夜の長い時間、自宅で一人にするのは、母も家族も不安である。
程なく説明の準備が整い、医師から手術と今後の説明があった。
心臓の画像では、詰まっていた血管に血流が戻る様子がはっきりわかる。
(左中央の丸印が梗塞箇所 右が血流が戻った画像)
この夜はCCUに入院し、様子をみながら一般病棟へ移り、経過が順調なら1週間から2週間で退院、と見通しが示された。
また、高齢であることから、入院中はリハビリを並行し、日常の歩行等が回復できるように努めるとのこと。(当たり前だが)若い医師が一生懸命説明し、私たちの質問にも丁寧に回答してくれた。少しずつ不安が解消されていった。
そして、この集中治療室へは入室して面会ができる。これまでの集中治療室の認識からはちょっとびっくり。麻酔も若干残っている状態で、どこまで父が理解できたかは定かではないが、病院スタッフの説明を聞いた後、帰路についた。

帰宅したときには日付が変わっていたが、最悪の事態は回避された安堵感があった。
高齢者の入院がどういう状況を生むのか、そこまでは考えが及ばなかった。(続く)
