加藤育実ライブ観覧について | 加藤いくみオフィシャルブログ「加藤いくみの成長日記」
加藤育実マネージャーの石川です。昨日の水戸OPAさんでのライブから、私と加藤とで話し合った内容をお伝え致します。かなり長いのですが、今の加藤と私の気持ちを綴らせて頂きました。

昨日は急遽、加藤育実のライブでのミックス、コールなどの声出しをなしとさせて頂きました。
事前の告知をしない形となり、声出しでのライブを楽しみにされていらっしゃった方には大変申し訳ございませんでした。

加藤は元々、その場の状況次第でライブ内容を直前で変更したり、思いつきで様々なことをするスタイルであり、それがある意味で、決まったことだけをしない、型にはまらない、加藤育実としての魅力や醍醐味にも繋がっている事だと、本人、スタッフ共に認識している部分ではございます。

昨日の水戸OPAさんでは、事前にステージや周辺の環境を見た際に、ステージ前に一般の方々が入りにくい環境であったり、人が流れやすく、加藤がいつもMCで説明をしている"ヲタクのクールさ、面白さ"といった話をした上でライブに持っていく事が難しい印象を受けました。
そのため今回はコール、ミックスなしで魅せられるライブを目指してみたい、という加藤の思いを元にライブ観覧におけるレギュレーションを決定しました。

ただ結果的に、禁止事項の少ない加藤育実のライブで、いつもと同じ楽しみ方を期待して来てくださった皆様に、突然ライブ観覧方法の指定をするような形となってしまい、自分達の配慮や準備が足りなかったと認識しております。
大変申し訳ございませんでした。

今後も、状況に応じてライブ内容が変動すること自体はあるもしれませんし、声出し禁止にする事が絶対にないと断言できるわけでもありませんが、声を出すライブの楽しさを求める方が多くいらっしゃる事は十分に認識した上で、準備、説明、告知などを行なっていく所存です。

ここから先は、加藤やスタッフの本意がより伝わればと思い補足的に書かせて頂く内容で、かなり長いのですが加藤育実ライブにお越し頂く方に読んで頂ければ幸いです。

加藤はヲタク、コール・ミックスをなしにしたライブを目指しているわけではなく、支えてくださるヲタクのみなさんや、そのヲタクのコール・ミックスを含めたもので、一般の方も楽しんで頂けるようなステージをいつも目指そうとしています。

「ヲタク」というものの定義について何かを論じれる程の知見はないかもしれないのですが、ただ自分なりの解釈として、少なくとも僕の付近でのアイドルヲタクの方々については、辞書的な意味の「特定の分野にしか興味がなく、他分野の知識や社会性に欠ける」という方のことではなく、「"一般的"なライブ観覧や応援の仕方から"特殊化・専門化"した観覧、応援の仕方をするようになった方々」だと思っています。
なので、アイドルに興味を持つ、好きになる、応援をする、ということが即ちヲタクというわけではなく、通常のライブの楽しみ方、応援の仕方をするうちにそれが深化し、特殊化していくことでヲタク度が上がっていくものなのだと思っています。
加藤は、少なくともライブに関しては、加藤育実に少しでも興味を持ち、ライブを観たい、歌を聴きたい、音を聴きたい、元気をもらいたい、加藤育実のライブを楽しみたい、という全ての方が、ヲタク度の高い低いに関わらず、それぞれのスタイルで楽しめるライブパフォーマンス、ライブ空間を今現在、目指しています。
ヲタク度の高い方だけに向けたライブは、加藤育実の目指すところではないと現時点で考えていますし、実際、観覧者がヲタク度の高い人だけになるというのは不可能だとも思っています。

アイドルヲタクのいわゆるヲタ芸というものが、アイドルにいかにして自分に気づいてもらえるか、思いを伝えられるかという気持ちを起源としているためか、目立ちやすいコール、ミックスなどの発声やケチャなどの動きが、アイドルヲタクの中での市民権を得て、ドルヲタの象徴のようになっているかもしれませんが、特殊化という意味では、カメコと呼ばれる写真撮影者も道具は使用しますが特殊化した楽しみ方だと思いますし、僕のように加藤の歌を聴けばとりあえずコーラスを入れたくなる人間も特殊化と言えるかもしれません。その様々な特殊化が互いに邪魔をし合わないように共存しあう場は難しく、持論ではありますが、ヲタク度にはばらつきがある方が多様性のあるライブ空間が生まれると思っています。

ひとつ難しいのは、"アイドルヲタク"と"加藤育実ヲタク"は、加藤育実がアイドルなので被っている要素も勿論ありますが、アイドルヲタクとしての特殊化、専門化が、加藤育実という人においての特殊化、専門化になるわけではないという事です。

たとえば、加藤育実が現在イベントに合わせて作っているオリジナルソングは、通常のアイドル曲のように2コーラス+間奏+大サビのような構成ではないため、普通のミックスなどが入れにくいですし、他のアイドル曲に使えるものをそのまま持ち込むことが難しい場合が多いです。

わざとそうしているわけではないのですが、イベントに出演する際、加藤はただオファーを受けて出演するだけではなく、なるべくその地域やそのイベントに関わる方々と、加藤育実ファン、加藤育実の三者が一体になるノリの役目が果たせるような曲になれば、またそこから少しでも新しいものが生まれれば、という思いの元に制作をしております。イベントが急遽決まることもあり、その場所の下見、作詞作曲編曲からレコーディング(イベントでの無料配布CD用)、ダンスの振り入れ、リハーサルまでを2〜5日ほどでやらなければならないことも多いため、曲のサイズは短く簡潔にしているという事情もあります。

なので、加藤育実ヲタクというのは、そういった背景がある加藤育実のライブにおいて特殊化することなのかなと思います。最近で言えば、「茨城自楽漫遊伝」でヲタクの皆さんが自前の印籠を持ってくださることが加藤育実ヲタクとしてのいい例かもしれません。

私も、アイドルヲタクとは言えませんが、加藤育実のヲタクではあります。
自分が加藤のボイストレーナーであり、マネージャーでもあるという事もあって、ライブ中に一緒にコーラスを歌いながら、ああこのコーラスも気持ちいいなぁなどとひとりでボソボソやっていたり、コーラスに限らず歌い方の抑揚、ダイナミクス、ニュアンスなどを自分の尺度で、自分の楽しみ方で聴いていたりもします。
曲終わりの「っ」という間からMCに入る瞬間のタイム感、空気感であったり、次のMCの内容にワクワクして(はたから見たらそうは見えないと思いますが)注目したり耳を傾けたりしています。その点に関してはもしかするとファンの方々よりも特殊化した聴き方、見方かもしれません。

また禁止にしておきながら、私自身は"加藤ヲタのコール・ミックス聴きたい厨"でもあります。加藤のオリジナル曲「天真爛漫少女」でヲタクの方が少し溜め気味で粘っこいミックスをバシッとバックビートに決めているのを聞くと、ひとりでひっそりと熱くなっていたりします。
これは僕に限らずで、加藤も、コールやミックスがある方が断然ライブのテンションとしては上がるし、やりやすいと感じています。
ただそれが、ぱっと見ただけで、キモい、ダサい、ウケるの一言で一般の方に片付けられないように、その楽しさ、かっこよさ、面白さなどをもっと多くの方に見てもらえる場をつくれるように、きっかけをつくれるように、いつも考えながら本人スタッフ共にライブに臨んではいます。

それが今回のようにうまくいかない事もあるのですが、加藤を応援してくださる方と、もっと別の楽しい景色、楽しい場所をつくることを目指す気持ちはいつでも変わることなく、活動をしていくつもりです。未熟な部分も多くご不満を抱かせてしまう事があるかもしれませんが、真剣なご意見にはこちらもいつでも真摯に向き合っていくつもりです。

大変長くなってしまいましたが、以上のような考え方で、加藤育実、運営としては動いております。今後とも加藤育実をどうぞよろしくお願い致します。