家計の構造と給料明細の見方を学び、収支のバランスについて考える授業です。


学習プリントです。


板書です。


昨年、一昨年来た教育実習生が作ったプリントやスライドを、一部アレンジして活用させてもらいました。



最初は家計の仕組みから。


今はお小遣いの範囲でしか生活していないみなさんも、一人暮らしを始めると、家計を扱うことになります。その仕組みを見ていきましょう。


家計は、収入と支出に分かれます。

収入と支出は、それぞれ、財産の増減がするもの、しないものに分かれます。


財産増にならない収入(実収入以外の収入)とは?


預貯金の引き出し、保険(学資保険などの積み立て型保険)、奨学金(貸与型)などです。

お財布にお金は入ってくるけど、貯金や積み立て型の保険は元々自分のお金だから財産が増えたわけではありません。また、貸与型の奨学金は、後で返さなくてはいけないので、財産が増加してはいませんよね。


財産が増加する収入(実収入)は、経常収入と特別収入に分かれます。

月々定額で入るお給料や年金は、経常収入にあたります。大学生の一人暮らしなら、親からの仕送りがこれにあたります。今は必要な時必要な金額を親からもらっている人もいるかもしれませんが、大学生になったら、仕送りの範囲内でやりくりをしないといけません。計画的に使わないと、月末にはお金が尽きて、ごはんも食べられないと言うことになるかもしれません。今のうちから適切な金銭感覚を養っておくことが必要です。


月々の収入は、金額が分かるので、前もって計画を立てて使うことができるお金です。それに対して特別収入は、あてにはできないけど、時々入る収入源です。みんなで言うと、お年玉がこれにあたります。お年玉は年によって違うし、これをあてにしていると、外れた時の痛手は大きいですよね。ボーナスは、景気に左右されて増減します。経常収入とは分けて考えなくてはいけません。


支出は、消費支出と非消費支出に分かれます。

消費支出は、普段、みんなが使っているお金のこと。売店で唐揚げやおにぎりを買ったり、コンビニでアイスを買ったり、自動販売機でジュースを買ったり、学食でランチを食べたり、友だちとカラオケに行ったり…モノやサービスを購入するための支出です。


財産が減少する支出には、モノやサービスを購入する以外の支出があることを知っていますか?


みなさんはまだ払っていませんが、みなさんの家庭では支払っている非消費支出です。社会保険料や直接税がこれにあたります。


社会保険料は、医療保険、年金保険、雇用保険など。直接税には、所得税、住民税。※消費税(間接税)は、消費支出と一緒に払うので、消費支出に分類されます。


社会保険料や税金は、モノやサービスを購入するのと違い、国や地方自治体に納入するお金です。


さて、この非消費支出。家計の何割くらいを占めると思いますか?


新入社員の給料明細から計算すると…約2割です。年収500万円なら約100万円。夫婦共働きなら、その2倍の200万円ほどが、家計から支払われると言うことになります。結構大きな額だと思いませんか?このお金が国や地域を支えているのです。


授業では、日本の長者番付や脱税とは?と言う話もしました。


この非消費支出。今後も約2割が継続されるでしょうか。

少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する予測のグラフを見せ、今は2人が1人を支えているけど、2050年には1人が1人を支えることが予測されること。支える=非消費支出です。すなわち、非消費支出は、今後、上がっていくでしょう。

少子化は食い止めなければいけません。

若い世代が、結婚しやすく、子どもを生み育てやすい世の中にしていかないといけないですよね。


さて、お給料をもらい出した後のことを想像してみましょう。


最初に自分の生活イメージに合う、食生活や住生活や娯楽を選んで生活費の計算をし、手取り20万のお給料で生活できたか確認します。


その後、可処分所得の2割は貯蓄にすることが好ましいことを話し、生活の微調整をしました。使いたいだけ使っていては、お金は底を尽きてしまいます。お給料をもらったら、最初に2割は貯蓄にキープして、残りのお金でやりくりすることが将来の生活のためにも大切です。



生活費のシミュレーションでは、計画的な貯蓄の必要性や、収入に見合う生活を送ることの大切さを学びました。家計とセットで学ぶことで、実感しやすくなると思います。


冒頭でも書きましたが、今回の授業は教育実習生が考えました。ベースは私のやってきたこれまでの流れですが、後半のシミュレーションは、実習生の発案です。若い発想が入ると、すごくいい!


今年も再来週から、教育実習生がきます。高校生の頃から、衣生活の分野に関心のあった生徒なので、授業は衣生活の分野でやってもらおうと思います。あまり口出しせずに、自由な発想で若い感性の授業をしてほしいと思います。私も楽しみにしています。