本校は、英語イマージョン教育の指定校になっています。

英語イマージョン教育とは、英語以外の教科をネイティブの外国人ALTSが、オールイングリッシュで教える授業です。

今回の住生活の英語イマージョン授業は、住居の国際比較です。
日本の住居と洋風住宅の違い→住まい方の違い と言う展開で行います。

授業は、ALTS(英語イマージョン教育のために常勤されているネイティブの先生)と共に作り上げていきます。今回の授業では、要所要所で班討議の場を設けつつ、伝統的な日本の住宅が、洋風に変わっていった理由について、戦後の焼け野原の映像から、国の政策で団地が増え、ダイニングキッチンが入った間取りが取り入れられていくことで説明してもらいました。戦争は人の命や建物だけを奪うのではありません。文化も奪うのです。現在も戦争で多くの建物が壊されています。戦争は絶対にしてはいけない。戦争のない世の中を強く願います。

戦後、和風住宅は洋風住宅に置き換わっていきますが、変わらない部分もあります。靴を脱いで生活することや畳や障子など、様々な日本のスタイルが残っていることも確認しました。 

玄関は、日本では特別な場所ですが、海外ではただの外と通ずるドアです。扉の開閉にも違いがあります。日本は玄関に靴があるため、外開きですが、海外では内開き。実は内開きの方がセキュリティの点では優れていること。外開きは防犯には弱いので、1人暮らしの郵便物等の配達はチェーンをかけて対応することもお勧めです。 

また、お風呂のスタイルも日本と海外では違います。日本は湯船の外で身体を洗い、お風呂に浸かってリラックスしますが、海外ではお風呂は身体を洗うためだけの場所で、湯船の中で身体を洗います。また、シャワーカーテンを湯船の内側に入れて、湯船の外を濡らさないように使うことも大切です。
私が以前、イギリスにホームステイに行った時、ホストマザーは、子どもをお風呂に入れる際、洋服を着たまま、湯船の中にいる子どもの身体をチャチャッとシャワーで洗ってあげていました。
日本では親子共に裸になって、お風呂に入ります。親子で背中を流し合ったり、お風呂の中で数を数えたり、遊んだ経験のある人も多いのではないでしょうか。
家は洋風に変わっても、日本の生活様式が残っているんですね。

授業は、基本的にはALTSが進めていきますが、
専門的な内容の部分では、私が解説(英語混じりの日本語で)しました。

授業の展開です。



学習プリントです。


伝統的な日本の住宅と西洋住宅の違いは?




一人暮らしとシェアハウスのメリット、デメリット


シェアハウスを今回の授業で取り上げたいと思ったのは、私が大学生の時、オーストラリア人の友人の実家に遊びに行った時、大学生のお兄さんの家にも遊びに行かせてもらい、カルチャーショックを受けた経験からです。

友人のお兄さんは、男女5人でシェアハウスに住んでいました。お洒落な庭付き1軒家で、大学生5人が生活する様子は、当時大学生だった私にはとても新鮮で楽しそうに感じました。

日本では、県外の大学生の住まいの選択肢は、「一人暮らし」か「寮」。でも、オーストラリアでは、「シェアハウス」が一般的なのだそう。知らない男女が一つ屋根の下に暮らすことが自然に行われていることに衝撃を受けました。

その話をカナダ出身のALTSの先生にすると、ALTSの先生も学生時代、「シェアハウス」を経験したことがあるそう。器としての住居だけでなく、住まい方の国際比較や、多様化する日本の家族と住居を絡めた授業にすると面白いのではないかと授業を構成していきました。

日本では、あまり見られないシェアハウス。しかし、これから日本の人口が減り、空き家が増えることが予想されること。単独世帯(現在約4割)がこのまま増え続けた時、1人暮らし用の部屋をさらに増やしていくことは得策ではない気がします。空き家活用の一つの手段であり、お互いの助け合いができるシェアハウスの選択肢は、今後、日本でも取り入れていけるのではないかと問題提起しました。

授業では、生徒たちに、「大学生、25歳、60歳、80歳(どれも単身の場合)」で、一人暮らしかシェアハウスを選択させました。大学生では一人暮らしを希望する生徒が多いのですが、高齢になるとシェアハウスを希望する生徒が半数を越え、活発な意見交換ができていました。


ところ変われば、住まい方はそれぞれです。
固定観念に縛られず、広い視野で物事を考えることの大切さに気付ける時間になったのではないかと思います。

授業の後、生徒たちが英語で書いた感想をALTSの先生が、全員分、丁寧に添削してくださりました。英語イマージョン教育を通して、生徒たちが伝えたいことを英語で表現できるようになるといいなと思います。

各教科、年間1回は英語イマージョン教育を入れることが学校の方針です。

家庭科とイマージョンは、すごく相性がいいので、今年は欲張って、年間3回組み込む計画を立てています。今回は住生活で行いましたが、二学期には衣生活、三学期には食生活でしようと思います。私も英語の勉強を頑張って、ALTSの先生と英語でのコミニュケーションを楽しみたいと思います。