保育の授業です。
最初に、動画「子どもの心身の発達」を視聴し、アタッチメント(愛着)について、丁寧に説明しました。※動画は教科書会社の指導書と一緒に購入したものです。
私の尊敬する保育学の先生が、子どもの成長を家に例えて話されていました。
乳幼児期は、家の基礎づくり。
この時期に、特定の保育者とスキンシップをはかりながら、しっかりと愛情を受けることによって、子どもは、精神的な安定を得たり、人を信用できるようになったり、自分に自信をもてるようになったりできると言われています。
私たちは、3歳くらいまでの記憶はほとんどない。しかし、この時期の保育者の関わり方は、その後の人格形成に大きく関わってきます。
しっかりした基礎の上に、小学校で柱を立て、中学校で屋根をのせ、高校で壁を作り、家が完成します(18歳成人)。
大学や就職は、家の内装。壁紙や照明、家具などは、自分好みに変えることはできるけど、家の基礎は一生ものだから、乳幼児期の保育はとても大事です。
ここで、親のスマホの使い方が子どもの成長に大きな影響を与えるという話をしました。
この10数年、スマホが普及して、親がスマホ片手に乳幼児と接している姿をよく見るようになりました。大人も子どももスマホが大好きです。確かに、ぐずっている子にアンパンマンの動画を見せれば、大抵は機嫌がよくなります。でも、心の根っこを作るこの時期に、電子機器に頼らず、できる限り自力であやしてあげたい。きちんと目を見て話しかけ、抱きしめて…大げさなくらいの愛情表現が子どもの心の基盤を作るのではないかと思います。
私の育休中、ママ友たちの間で流行ったアプリがありました。
「鬼から電話👹」
子どもを叱りたい時に、アプリ内の鬼から電話で叱ってもらうそう。賛否両論あると思いますが、私は、子どもは自分で目を見て叱りたいし、ぐずった子どもは、安易に電子機器に頼らず、自分であやしたいなと思います。
また、全てのメディアに触れる時間は1日2時間までと日本小児科医会が言っています。幼少期の電子機器との距離は、親が制限してあげる必要があるのではないかと私は思います。
さて、子どもは、いくつまで、抱きしめながら育てたらいいのでしょうか。
すなわち、0〜9歳までの10年間です。
長いように感じるかもしれませんが、この10年間は意識して、密接に子どもと関わっていきたい時期です。
9歳までは、目に見える形で愛情表現をしながらしっかりとアタッチメントを形成し、その後はあたたかい目で見守りながら、自立を促すことも大切です。
「子育て10年、子離れ10年」とも言います。
うちの子どもたちは11歳と13歳です。
徐々に交友関係や行動範囲が広がって、親との距離をとるようになってきました。寂しさも感じますが、いつまでも甘やかさず、上手に手を離していきたいと思います。
ここで、私が子どもと関わる時、いつも心に留めている「子は親の鏡」の詩を紹介しました。子育てに正解はありませんが、多くの世界で共感を得ている子育て法です。
私も子どもが赤ちゃんの頃から、いつも目に付く食器棚に貼って、育児の参考にしてきました。
子どもは可愛いけど、育児は、イライラの連続です。急いでる時に限って派手に牛乳をこぼしたり、目を離した隙に油性ペンで壁に落書きしたり…
つい、感情的になりそうになった時、この詩を見て一呼吸おくようにしています。
『広い心で接すれば、キレる子どもにはならない』
『和気あいあいとした家庭で育てば 子どもは この世の中はいいところだと思えるようになる』
こう育てたい、こうありたいと思う言葉が詰まっています。
さて、あなたは、虐待する親=凶悪犯と思いますか?
児童虐待の半数以上を占めるのは、身体的虐待ではなく、心理的虐待。
子どもへの暴言や無視がこれにあたります。誰でも虐待をする可能性があるんです。
行き過ぎた虐待をする親は、親自身に悩みや問題を抱えていることも多く、それを取り除くことで虐待は無くなることもあります。また、近年よく耳にする「ワンオペ育児」。育児の責任を1人で抱え込むことが、母親を追い詰めて、子どもへの虐待につながることもあります。
孤立した育児環境を変えるためには地域の力が大きな役割です。
市民センターの子育て広場、区役所の離乳食教室、産院のママ友会など、育児の息抜きをしたり悩みを相談できる場があることを知ることも大切です。
そしてもし、虐待に気付いたら、189(いちはやく)に連絡しましょう。児童相談所に連絡することで、虐待されている子どもだけでなく、親も救うことができるかもしれません。
高校生は、心が揺れ動く時期でもあります。
たくさん愛情を受けて育っても、成長の過程で自己肯定感が感じられない時期もあるでしょう。私も、高校時代は、劣等感の塊だった気がします。
それが一過性のものではなく、親の虐待やアタッチメント不足よるものであるとしたら、それはあなたの責任ではありません。専門家に相談すると、気持ちが楽になることもあります。学校にはカウンセリングの先生もいますし、心療内科を紹介することもできます。早目の対処で家の土台は補強することができます。必要があれば、声をかけてくださいね。
次に、子どもの食についての動画を観ました。
乳児は、歯が生え始める5〜6ヶ月から離乳食を始め、12〜18ヶ月で完了します。離乳食には、栄養補給だけでなく、あごの発達や味覚形成の重要な意味があります。素材の味をいかした薄味のものを適切な固さで食べさせることが大事です。
乳児期は蜂蜜はNG🙅♀️
また、アレルギーのある子もいるので、初めて食べさせるものは少量から始めましょう。動画でもあったように、1割程度の子どもはアレルギーがあると言われています。代表的なアレルギーの原因物質に、「卵、小麦粉、牛乳」があります。小さな子どもに、お菓子をあげる時は、必ず親に確認をとりましょう。勝手にお菓子をあげては絶対にいけません。
最後に、好ましい基本的生活習慣と社会的生活習慣についての話をしました。
基本的生活習慣とは、健康に生きていくための生活の基盤となることです。
「好き嫌いをしないで何でも食べる」
「早寝早起きをする」
「外から帰ったら手を洗う」など。
子どもは寝るのを嫌がるものだけど、我が家では、絵本の読み聞かせが、早寝早起きの生活習慣をつけるのに、役立ちました。
工夫次第で生活習慣は楽しみながら身に付けることができます。「あれしなさい」「これしなさい」は、大人も子どももキツいもの。一緒に楽しみながら、好ましい生活習慣に誘導するのがお勧めです。
手洗いの歌も、我が家では大ヒットでした。
続いて、社会的生活習慣について。
社会的生活習慣とは、社会のマナーやルールを守ることです。
子どもは大人を見てるから、大人は生活習慣を正し、子どものお手本になるようにしたい。
車が来てないからと信号無視したり、歩きスマホとかしてない?子どもは社会全体で育てるもの。私たちも常に意識して行動したいですね。
保育の授業は、保育学を根拠にしつつ、私の主観が入った形で進めています。ここ数年、保育の分野では、特に電子機器との付き合い方について詳しく話しています。生徒たちには、私の考え方を1つの事例として、自分なりの育児観について考える時間にしてほしいと話しています。
授業の後、授業の話題で友だちと話している生徒たちを見ると嬉しくなります。
授業を通して、子どもに興味をもち、関わってみたいと思う気持ちを育て、将来子どもを持つことが楽しみになってくれたら…そう考えながら、授業をしています。
追記
TEDで7歳の女の子のスピーチが、とてもよかったので紹介します。
「いないいないばぁが世界を救う」
https://www.ted.com/talks/molly_wright_how_every_child_can_thrive_by_five?subtitle=ja&language=ja
次年度は、食や生活習慣の話は次時にまわし、この動画を見せてもいいなと思っています。