家族の授業です。

学習プリントです。


板書です。

(私は、授業の流れがひと目で分かる板書が好きなので、基本板書で、写真や動画などのプラスアルファの部分を電子黒板でしてきたのですが、最近は用語の説明など、スライドを使う機会も増えてきました。

スライドを全て紹介するのは難しいので、さらにブログが伝わりにくくなってしまい、ごめんなさい🙏)


 最初に、性別役割分業や男女共同参画社会の用語を紹介し、日本は固定的な性別役割分業意識の強い国だと言うことを、教科書のグラフで確認し、男女共同参画社会を目指す必要があることについて認識させました。

2023年の日本のジェンダーギャップ指数は125位で過去最低でした。その原因は政治参加や経済参加のスコアがかなり低いことです。教育や健康のスコアは高いので、高校生のみなさんがジェンダーギャップを感じることはほとんどないかもしれませんが、社会にでると感じることになると言うことです。

男女共同参画社会基本法ができてから20年以上が経ちました。法律がいくらできても、社会が変わり、私たちの意識が変わらなくては、うまくまわりません。

夫と一年、育休を交代したことがある我が家の話を例に出し、まだまだ少数である男性育休の、経験したから分かる問題点についても話しました。男女問わず、制度を積極的に活用することも大事です。

また、私と夫は同業ですが、夫は部活で帰りが遅く、土日もないため、共働きが再開しても、必然的に、家事や育児は私の仕事になっています。「働き方改革」が進まなくては、協力し合いたくても、物理的に難しい。ありがたいことに、夫には家事能力もやる気もあるので、せめて家族で夕食を取れたり、休みの日を確保してもらえたらと願っています。

その後、この文章を読んでもらいました。

「ひろしくんが交通事故にあい、意識不明の重体になった。
血だらけの彼は病院に運ばれ、すぐ手術をうけた。
連絡を受けた父親が慌てて駆けつけた。
手術の時、執刀医は患者の顔を見て驚いた。
それは、自分の息子だったからだ。」



執刀医を父親と考えた人は違和感を感じ、母親と考えた人はすんなり読めると言う、ジェンダー感に気付ける文章です。これまでジェンダーギャップについて話してきたにも関わらず、違和感を感じてしまったほとんどの生徒は、自分自身にある固定観念に気付けたようです。

知らず知らずに持っているジェンダー感に気付いた上で、脳神経外科医をしている私の女友達が感じる日本での仕事上の壁について紹介し、性別役割分業意識を取り払って、家庭でも社会でも、生きやすい世の中にしていきたいねと話しました。

さて、本題の家族の話。
 
「家族」と言う言葉を辞書で調べると、配偶、血縁、親族など、婚姻関係や血の繋がりを基本としてあります。でも、段々と家族の定義は広がりつつあり、家族は多様化しています。

そこで、事実婚、DINKS、DEWKS、ステップファミリー、オンデマンド婚(別居婚)などを、エピソードと共に紹介。

新婚当初から、仕事の関係で別居婚で子育てした従兄弟を例にだし、本人たちの選択した人生。本人たちは納得して別居生活を受け入れていたけど、一番辛かったのは親戚からの批判だったそうです。これからの世の中では、多様化した家族を受け入れる考え方は不可欠だと思います。
 
その後、サザエさん一家を例に出し、核家族、直系家族、拡大家族、生育家族、創設家族について確認しました。


人は人生で2つの家族を経験すると言われます。みなさんが生育家族で過ごす期間はあと少し。これからの人生は、創設家族で過ごす期間の方が圧倒的に長いんです。(1人で生きることを選択する人、家族を作る人、それぞれの人生があると思います。)
パートナー選びは、人生を左右する大きな選択です。結婚する場合は、自分の生き方を尊重してくれる相手をしっかり見極めましょう。
小中学校の家庭科では「生育家族」に視点があったと思いますが、高校の家庭科は「創設家族」に視点を向けた話をします。
これからの人生に思いを馳せながら、より自分らしく生きていくための知識や技術を身に付けてほしいと思います。

 統計上で、家族を扱う時は、「世帯」という言葉がよく用いられます。「世帯」とは、住居と生計を共にする集団のことです。

次に、国勢調査のデータを用い、現代の家族の傾向を読み取りました。
 
日本に住む全世帯を対象にする国勢調査は、最も信頼のおけるデータの一つです。2020年は21回目の国勢調査が行われました。

 これまでの調査では、ずっと核家族と直系家族の割合が減り、単独世帯が増え続けると言う変化をしています。単独世帯の割合は、今や4割に届きそうなほど膨れ上がっています。この傾向はいつまで続くのでしょうか。2025年、2030年と調査依頼がみなさんにも届きます。必ず協力すること。そしてこの後の日本の家族の傾向に関心を持ってほしいと思います。


現代の家族は小世帯化しています。
このことは、高齢者の介護、子どもの虐待やDVの増加など、現代の家族の問題点にもつながっています。


法律のできた年度は、問題が顕在化したことも表れでもあります。


結婚後にDVをする人は、付き合っている時から何らかの兆候があるはずです。パートナー選びは慎重に。異性を見る目は今のうちからしっかりと養っておく必要があります。

同世代の多くの異性と関わることのできる高校時代は、色々なタイプの異性の存在を知る絶好の機会です。たくさんの級友と関わり、自分の価値観を育ててもらいたいと思っています。

現在、10代カップルの3組に1組でデートDVが起こっているそうです。
DVと言うと、男性が女性にふるう暴力を想像しがちだと思いますが、一番多いDVは、身体的な暴力ではなく精神的なもの。そして、男女どちらも被害にあうことがあるんです。
今、お付き合いしている人。束縛や暴言、LINEのチェック、お金の要求や性の強要などもデートDVにあたります。自分がしていないか。またされていないか。まずは気付くことが大切です。


 授業では、私の友人(男)が、大学時代にデートDVにあったエピソードを話し、少しでもおかしいと思ったら、自分だけで解決しようとせず、周りに協力を得ること。時には、早目に別れる判断も大切だとまとめました。

プリント裏には、デートDVやヤングケアラーの説明や相談できる機関の資料を載せました。

家族の分野は、人権学習の要素も多く含み、小論文対策にもなる内容だと思います。
 
受験にも絡みつつ、生徒たちが、進学・就職以外の自分の将来についても、考えるきっかけになるといいなと思います。