生活設計の授業です。

最初に春休みの課題について。

左半分は、これまでの人生の振り返り。

右半分は、今後の人生を想像して書いてもらっています。まだ経験したことのない将来を想像することは、高校生には難しいので、ピンポイントで、15年後の理想の生活も書いてもらいました。また、その理想の生活を送るために、今、やるべきことを考えてもらい、青年期の発達課題につなげました。

最初に中学生までの自分について、プリントを使って周りの友だちと、フリートークをしてもらいます。

「保育園のお昼寝の時間が嫌だった」
「休み時間は、校庭で走り回ってた」
「受験勉強、めっちゃ頑張った」…

幼児期、小学校、中学校と、段階に分けて書いているので、成長を感じながら話すことができていました。





次に「15年後の自分」について、4〜5人に発表してもらいました。










結婚や子どもやペットの有無に違いはあるものの、生徒たちの考える31〜2歳の理想の人生は仕事をしながら適度な収入を得て、休日は旅行や食事に行くなど、時間や心にゆとりのある生活のようです。

プリント裏には、平均初婚年齢や、第一子出産年齢、未婚率、年代別の平均月収、昭和の人生すごろくのイメージを載せており、理想と現実のギャップについて感じてもらいました。


現在の結婚事情は、平均所管年齢が男女共に30歳を越えており、未婚率も上がっていること。経済産業省の試算によると、「結婚して、子どもを持って、伴侶と添い遂げる」人生は、みんなの親世代でさえ、6割を下回ります。みんな世代になると、もっと少なくなるかもしれません。


みんなが理想とする人生は、計画的に自分自身でつかみ取っていく必要がある。そのためには、生活設計が必要だと言う話をしました。


ここで、本時のプリントを配りました。


プリント裏には、少子化の現状や未婚化、晩婚化の背景、少子高齢化対策で国が行っていることなどの資料を載せました。


板書です。



生活設計で必要なのは、まず何歳まで生きるかを予測すること。これは、平均寿命が参考になります。健康寿命と平均寿命の差を、教科書のグラフから書き抜き、男女共に10年前後、人に助けを借りなければならない時期がでることを確認しました。


日本は超高齢社会です。全ての人が高齢者施設に入られるわけではないでしょう。また、日本の法律では、親子兄弟の扶養義務があります。一緒に住んでいなくても、もし、親が介護を必要とするときが来たら、どのように関わるのか。在宅介護も視野に入れ、生活設計に組み込んでおくことも大切です。

また、子どもを育てるのはお金がかかります。子どもを持つ場合は、教育費の捻出も必要です。

生活設計をすることで、先を見越した準備ができるようになります。
私たちは、長いライフコースを歩んでいきます。途中を飛ばして大人になることはないわけで、日々の積み重ねがあってこその今があります。

みんなが受験勉強を経験したように、ライフステージごとに、多くの人が直面する課題があります。青年期に位置する高校生なら、大学進学に向けた学習や、職業観、結婚観の形成、年齢相応の4つの自立、地域の活動への参加なども、この発達課題にあたります。

それぞれのライフステージの発達課題を意識して今やるべきことを考え実行することで、思い描く人生に向かって進んでいけるのではないかと思います。

前回の授業でしたライフサイクルゲームでは、20代から60代の人生をこのように表現していました。

※10代は各自に考えてもらいました。

その時その時の発達課題に向き合っていくことで、自分の思い描く次のステージに進めるのだと思います。

私は、今40代。「充実感いっぱいの時期」です。
仕事にも慣れ、子育ても落ち着いてきて、自分の時間も少し取れるようになってきました。そろそろ老後のことも考えて、身体のメンテナンスや老後の資金を貯めていかなくてはいけません。

今の生活だけを切り取ると、「充実感いっぱい」な感じに見えるかもしれないけど、そこに至るまでには、それなりの苦労と努力がある。
人生は積み重ねられて作られていきます。
 
その年代ごとの発達課題をクリアすることで、自分の思い描く人生に近づくのではないかと思います。

平均初婚年齢や未婚率が上がり、「結婚して、子どもを持って、添い遂げる」と言う人生が当たり前ではなくなってきています

生き方が多様化する今、経済的自立、精神的自立、生活的自立は、必須要素です。1人で生きていける人が2人で生きるともっと楽しい。逆に言うと、1人で生きていけない人と一緒になるのはお勧めできません。

理想と現実がずれていくこともある。
生活設計は、その都度軌道修正しながら、先を見越して今できることを考えることが大切です。

最後に、プリント右を使って、生徒たちにもう一度、生活設計をしてもらいました。

多様な生き方を実感してもらうため、家庭、家族の項目では、結婚する、結婚しない場合に分けて記入してもらいました。


「なりたい自分」になるためには、先を見越して今を生きることが大切です。また、人生の先輩である大人たちを見たり話を聞いたりして想像力を膨らませてほしいと思います。

人生は点ではなくて線でつながっています(ライフコース)。30代の理想を叶えるためには10代20代の準備が大切です。そして、老後に健康で経済的に不自由しないためには、40代50代の備えが必要なのです。

1日を24時間に例えると、あなたは今何時にいますか?
高校2年生は、朝の5時くらいにいます。
人生で言うと、まだ起きたか起きてないかくらいの早朝です。でも、この朝の5時から7時くらいが自分の生き方を決める最も重要な時期なんです。

人生の大きな選択は、朝のうちにやってきます。
10代はしっかり勉強し、大いに悩む時期です。
一度入った高校から進路変更をするのは大きなエネルギーが必要なように、一度就職や結婚をしたら、進路変更することは、できないことではないけれど、きっと大変。(もちろん、転職や離婚、再婚で新たな道を切り拓くこともできます!)
今のうちから、自分なりの就職観、結婚観をつけておくことは大事です(青年期の発達課題)。

高校生のみなさんは、まだまだこれから。選択肢は色々。人生いかようにも変えられる時期なんです。

自分の思い描く人生を生きるため、先を見越した生活設計とそのための準備、選択肢を増やすために、世の中のことにアンテナを張って、知識や経験を増やしていきましょう。