家庭科2時間目は、「ライフサイクルゲームⅡ」をするため、被服室に入ってもらいました。


板書です。




最初に、教科書の記名とファイル作りをします。

家庭科では、毎回プリントを配ります。プリントは、家庭科専用のクリアファイルに入れて管理してもらいます。

以前は、紙ファイルを実習費から購入して配布していたのですが、プリントに穴を開けるとプリントが傷むし、綴じるのが手間でぐちゃぐちゃになる生徒がいたり、考査前、勉強する時も使いにくいと思い、「ただファイルに挟むだけ方式」にしたら、プリントの紛失が格段に減りました!

ファイルは、家にある使い古しを持って来てもらっています。忘れた人は、被服室近くにある文具ドライブに取りに行かせて、全員揃えます。

文具ドライブの活用を促すことができて一石二鳥です。


同時進行で、前回出していた課題(赤い羽根キャッチフレーズ)を、応募用紙に記入してもらいます。赤い羽根は、地域の課題解決に募金が使われます。これは、家庭クラブの主旨と合致します。そこで、家庭クラブ員全員の活動として赤い羽根の普及活動に貢献する意味で、キャッチフレーズの応募をしているのです。

これまで3回、最優秀賞をいただいたこともあるこの応募(最優秀賞は県のポスターのキャッチフレーズになります)。今年も、生徒たちは熱心に取り組んでくれました。

さて、本題です。
春休みの課題で、生活設計をしました。

※次回の授業で使います。

左半分はこれまでの振り返り。右半分はこれからの将来設計にしました。


将来のことを想像するのは、難しかったのではないでしょうか。そこで、今回は、人生すごろくをしながら、シミュレーションをしたいと思います。


学習プリントです。

左半分には、経済的自立に関するチェック項目。右半分には、奨学金破産の新聞記事や、奨学金をもらっている人の平均金額、借金の原因のグラフを載せました。


人生にはお金がつきものです。そこで、このすごろくには、お金が至る所に出てきます。

プリントのお金に関するチェック項目をして、自身のお金に関する管理能力を確認した上で、すごろくにとりかかってください。

ルールは簡単。マスに止まった指示通りにお金のやり取りをしながら進みます。

途中、ボーナスチャンスカードでクイズに答えたり、アクションカードで、悪質商法の被害を回避できたり、学びの要素満載です。


4〜5人1班で、30分あれば1回できます。


ゲーム後の板書
サイコロの目1つで、人生は大きく変わる。人生にトラブルはつきものではあるが、計画的にお金を使うことの重要性、詐欺や悪質商法を回避する方法、また、騙された場合の解消法についても、今後の家庭科では学んでいくことを確認しました。
 
ライフサイクルゲームで学んだことをプリントに記入したら、本時の授業はここで終わり。

次の授業始めに、ライフサイクルゲームをした感想を聞き、ゲームから学んだ知識を共有しました。

数人聞けば必ず出てくる生命保険の必要性。
このゲームは、「第一生命」が無料で配布しているもので、目的の一つが生命保険の必要性を高校生に認識させることになっていて、その部分が少し強調されるゲームになっているのではないかと話しました。

生命保険に入ったけど、使わずにゴールした人に挙手してもらい、実際の保険も大半の人が使わずに済む。ただし、大きな怪我や病気になった時に助けてくれるのが保険。その特徴を正しく理解して、必要かどうかを考える。また、若い頃に入ると安く、病気の不安が出てくる40代50代になると保険は高くなる。それもゲームで学べる特徴の一つです。

他にも、退職金をもらった後に振り込め詐欺に引っかかった人や、トラブルにあっても消費生活センターで全額免除になった人、相談したけど結局全額支払わなくてはいけなかった人、住宅ローンをせずに一括で支払ったらその後お金が足りなくなって、ローンも時には必要と言うことに気付けた人など、現実にも起こり得る様々な気付きがあります。

ライフサイクルゲームの特徴上、借金の原因が、事故やギャンブル、詐欺など、突発的なできごとや不運に偏るので、実際の借金の原因について、プリントのグラフで確認しました。

一番多い借金の理由は、低収入や収入の減少ですが、見逃せないのは「保証人、借金肩代わり」の項目です。
どんなに仲の良い友だちでも、借金の保証人(特に連帯保証人)にはなってはいけないこと。もし、保証人になる時はその借金を自分が返す覚悟でなることも話しました。

また、高校生にとって最も身近な借金である奨学金についても話しました。

奨学金は、教育の機会を広げるために大切なもの。大学生の2人に1人がもらっています。
その平均額は、年間82万円(月々6〜7万円)。4年間で328万円にもなります。

しかし最近、奨学金破産のことがニュースで取り上げられるようになりました。奨学金も借金です。計画的な利用が必要です。


プリント裏には、日本学生支援機構の「先生!お金のことが心配です…」の中から抜粋した資料を載せました。
大学時の奨学金の手続きは高校3年生で予約するものもあり、ちょうど今、3年生がその手続きをしているところです。保護者の方としっかり相談し、必要最低限の金額に抑えること。卒業後に月々いくら返すのか、誰が返すのかなど、きちんと考えておくことが大切です。

卒業後、何年返すのか。いつ頃結婚し、いつ頃家を持ちたいのか。お金のことを将来設計の中に組み込んで計画的に考えていきましょう。

奨学金は、大学生の2人に1人を支える大切な制度です。上手に利用して、自分の思い描く人生を歩んでほしいと思います。

このライフサイクルゲームは、新しいバージョン「ライフサイクルゲームⅢ」が出ています。ライフサイクルゲームⅢでは、投資信託やiDeCoのことも出てくるので、金融教育とセットですると効果が高いと思います。

「ライフサイクルゲームⅢ」は、「第一生命」から、1校10セットまで無料でもらえます。
ライフサイクルゲームⅡでは、全員が就職し、全員が結婚し、全員が子どもを持ち、全員が家を買うのですが、ライフサイクルゲームⅢは、全て選択できるようになっています。さらに、投資などの資産運用についても選択できるようになっており、より今の人生に近いものになっています。

今回はシンプルにお金と人生の絡みについて学ばせたかったのでライフサイクルゲームⅡを使いましたが、後日、資産運用の話と共に「ライフサイクルゲームⅢ」を使いたいと思います。

授業にゲームを使う場合は、ゲーム後のまとめがポイントです。ただ楽しかっただけのやりっぱなしにならないように、目的をきちんと持って使うと、深い学びにつながると思います。