情報Ⅰで著作権について学んでいます。

著作権は、生活に密接に関わりがあり面白い内容ですが、たくさん法律名が出てきて、厄介な分野です。


そこで、著作権に興味を持って、知りたいという気持ちを育てるため、、著作権に関するエピソードを、家庭科の内容で話しました。


まずは法律の分類を図示しながら説明します。


そして、質問。

「料理のレシピに著作権はあると思いますか?」


絵でも文章でも、創作物には創作した瞬間から著作権が発生します。(無方式主義)


しかし、料理のレシピに著作権は発生しません。厳密に言えば、レシピのアイデアには著作権は発生しません。肉じゃがやカレーライスなどの料理、誰が考えたレシピでしょうか。分かりませんよね。どこからがオリジナルのレシピか線引きが難しいからではないかと思います。


しかし、レシピサイトなどに書かれたレシピには、©️のコピーライトのマークが付いています。これはなぜか。これは、レシピにではなく、レシピサイト側が創作した様式に書かれたレシピに著作権が発生しているから。撮った写真や文章には著作権が発生するのですが、この様式を使って書いて、投稿する段階で著作権をレシピサイトが持つことの承諾をするシステムになっているのです。


このブログを読んでくださっている方はご存知と思いますが、私はcookpadに多くのレシピを投稿しています。この私のレシピの著作権は全てcookpadが持っているということになります。


さて、これらの本には、一般の人が考えたレシピがたくさん載っています。

この5冊の本には、私のレシピも1つずつ載っているのですが、私は1円ももらっていません。著作権(財産権)はcookpad側にあるので当然ですよね。


これまでの料理本は、料理研究家等が一冊に載せる料理を1から考えながら、数ヶ月かけながら作り上げるものだったのではないかと思います。今もそのような料理本はありますが、少なくなりました。


cookpadのようなレシピサイトには、たくさんのオリジナルレシピが集まり、読者から実際に作った感想やレシピの評価が集まります。人気のあるレシピをまとめて本にすると、人気のある(売れる)本を作ることができるのです。


さらにレシピサイト側にはメリットがあります。

レシピの作者1人1人が広告塔となって、本の宣伝をしてくれるんです。

私も、初めて本にレシピが載った時は嬉しくて、周りに話したり、自分で10冊くらい買って、友人や親兄弟にあげたりしました(笑)100レシピ載っているとして、100人がこれをしたら、かなりの宣伝効果がありますよね。身の回りの人だけにではなく、SNSで不特定多数の人に紹介する人もいるかもしれません。広告料はとても高いので、cookpad側には、広告費を削減できるメリットがあり、本を安く売ることができます。


情報社会の中、様々な職業がなくなると言われていますが、新しくうまれる仕事もたくさんあると思います。ここ10数年前から生まれたこのようなレシピ本も、企業内のブレーンストーミングやKJ法から考え出されて商品化されたのではないでしょうか。

柔軟な頭でアイデアをたくさんだして、これからの時代に合った仕事を作り出していく。夢のある時代にみんなは生きているのです。


情報社会では、著作権などの知識は必要不可欠です。

しかし、細かな事例について、授業で全部説明することはできません。常に「これは著作権や肖像権、プライバシー権、パブリシティ権など、違反していないかな」と考えて行動することが大切です。分からなければ、ネットで調べて確認してみてください。

周りみんながしていることでも実は違反していることはあるかもしれません。まずは、LINEの自分のアイコンに、好きな芸能人やアニメのキャラクターなど、使っていないかなど、身の回りのことから見直してみましょう。情報社会では、みんながルールとマナーを守って生活することがとても大切なのです。


レポートや読書感想文の引用も然り。引用のルールは、①必然性があり、主従関係がはっきりしていること。②引用箇所が明確であること。③出所を明記すること。みんながしているからは、通用しません。ルールに従って行動しなければいけないことを確認しました。


ネット上には、たくさんの著作権クイズがあります。あなたの常識は正しいか、ぜひ解いてみてください。


ちなみに、先述の本にレシピが載った時は、cookpadからメールで掲載していいかの連絡が来て、承諾後、本に載りました。レシピの写真はcookpad側が私のレシピで改めて作ったものが使われており、文章も他のレシピと揃えた形になっていました。レシピ掲載後には、お礼の手紙と掲載された本を一冊送ってくれました。

著作権について学んだ後にこの流れをみると、納得いくところだらけで、とても面白いと思ったので紹介しました。

VUCA時代(先行きが不透明で将来の予測が困難な時代)に生きる生徒たちに、正しい知識と発想を豊かにする授業を考えていきたいと思います。