食生活3時間目は、栄養素(炭水化物)の授業です。

板書


次時から調理実習が隔回に入るので、オリジナルレシピ集を配って、残り10回の調理実習について写真を見ながら軽く説明しました。


見通しを持って実習ができることは、モチベーションアップにもつながります。


最初の調理実習は、ミルク餅です。


これまでは、わらび餅を作っていましたが、どこの家庭でもある身近な食材(牛乳、砂糖、片栗粉など)でできるミルク餅が、家で実践しやすいのではないかと考え、昨年度からミルク餅を作っています。


まずはでんぷんの特徴と調理性の話から。


学習プリントです


米に含まれるでんぷんには、ぶどう糖が直鎖状に結合しているアミロースと枝分かれ状に結合しているアミロペクチンがあり、枝分かれが絡み合うアミロペクチンの方がアミロースより粘りがあります。もち米はアミロペクチン100%。うるち米はアミロペクチンに 2割弱のアミロースが入っています。日本では、粘りのある短粒種が好まれますが、世界的には長粒種が好まれており、長粒種であるインディカ米は、うるち米よりアミロースが多く、パラッとしています。この粘りの違いは、アミロースとアミロペクチンによるものだったんですね。


また、生のでんぷんには、水と熱を加えると糊化して美味しく食べられるという調理性があります。


でんぷんは水と熱を加えると粘りが出て、美味しく消化のよいでんぷんに変化します。これを糊化(α化)といい、冷めると老化(β化)します。
 
でんぷんは一度老化すると、またα化させても元の美味しさには戻りません。
そこで、昔からの知恵で、αでんぷんのまま保存させる方法が3つあります。

①砂糖を加える ②乾燥させる ③凍らせる

①冷まして食べる寿司飯が柔らかくて美味しいのは、寿司酢に砂糖が入っているから、米の老化を遅らせています。また、冷たくても美味しいわらび餅も、お砂糖がでんぷんの老化を遅らせてくれているのです。

②炊いた米を潰して焼いて作る煎餅は、乾燥しているため、αでんぷんのまま長期保存できます。

③冷凍うどんや冷凍ピラフが美味しいのは、作り立てを急速冷凍しているので、αでんぷんのまま保存できているからです。

炊きたてのごはんや買ってきたばかりの食パンなど、すぐに食べない分は、ラップ等で密封して冷凍保存するのが美味しく食べる秘訣です。

プリント裏にはでんぷんの調理性についての資料を載せました。小学生向けの本ですが、とても分かりやすく、お勧めです。



そして本題の炭水化物の話。

板書


学習プリントです。


炭水化物は、1gあたり4kcalのエネルギーを持っていて、糖質と食物繊維に分けられます。

教科書には、糖質のみエネルギーがあるように書かれていますが、実は食物繊維にもエネルギーがあります。でも、人間の体内で使えないのです。理由は消化酵素。私たちは食べ物を食べると消化酵素で分解してから吸収します。
炭水化物の中で、人間が消化酵素で分解できない物を、食物繊維と呼びます。食物繊維は吸収できないので、エネルギーとして使えず、身体の中を素通りして排泄されます。食物繊維は、2つに分かれ、オクラや納豆などのネバネバドロリ系の水溶性の食物繊維は血糖値や血圧、コレステロール値を下げるので、生活習慣病の予防になり、野菜やきのこなど歯ごたえしっかり系の不溶性食物繊維は腸の蠕動を促し、便秘の解消になるため、大腸がんの予防になります。

食物繊維は、平均すると目標値の2/3程度しか摂れておらず足りていないこと。
「まごわやさしいな」を意識的に摂ることで、目標量に近付けることができることを確認しました。



我が家では、食物繊維をたくさん摂れるように、日々の米に雑穀を混ぜています。

朝ごはんは、このごはんにキムチ納豆でも食べればバッチリです👍

プリント裏には、簡単にとれる朝ごはんの紹介や、便秘解消の資料を載せました。

日々の生活や今後の一人暮らしで、ぜひ活用してみてくださいねウインク













片栗粉はじゃがいもでんぷんでできています。わらび餅はさつまいもでんぷん、タピオカはキャッサバと言う芋のでんぷんです。

板書

家で試作してみました。
器によって印象が変わります。どんな器にしようかな。。。

ミルク餅の作り方

わらび餅の作り方

でんぷんの糊化は、水溶き片栗粉でのとろみ付けなど、多くの料理に活用されます。とろみをつけることで、食感が変わるだけでなく、タレが絡みやすくなったり、スープの具を沈みにくくしたり、料理を冷めにくくしたりするなど、様々な働きをします。糊化を効果的に使って、料理を楽しんでくださいニコニコ

今後も五大栄養素の学習毎に50分の調理実習を行います。
座学と調理実習をリンクさせることで、生活に活かす方法を体験的に学ばせていきたいと思います。