衣生活の分野に入りました。
布の構成→衣服の機能(快適な温度保持)です。

板書です。


授業の前半は、布の構成について話しました。

授業の始めに、15cm四方の織物(以前、エプロン実習で使っていた余り布・斜文織)を全員に配り、各自、布を触りながら理解を深めました。

織物は、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)からなり、構造上、縦と横には伸びないけど、斜めに伸びやすいことを実際に布を使って確認させます。

次に、三原組織。
平織、斜文織、朱子織の構造と特徴を説明し、配布した布で、肉眼でも見える斜めのラインを確認させました。



また、編み物の構造を教えます。
編み物は、編目がループ状になっているため、縦にも横にも伸びやすいけど、型崩れしやすいことを、セーターを例に説明します。


ここでクイズビックリマーク
Tシャツは織物?編み物?
靴下は?タオルは?
織物と編み物について、理解したつもりでも、間違う人が多く、もう一度確認。Tシャツ、靴下は、縦にも横にも伸びやすい→編み物  タオルは伸びない→織物(添毛組織=ループ状にした糸を平織したもの)
編物=毛糸で編んだものだけではない。Tシャツのような薄い布でも編物構造になっているものがある。クイズをすることで、しっかりと腑に落ちたようです。

また、繊維をそのままプレスして作る不織布についても紹介しました。糸を作り、織ったり編んだりする手間を省いた不織布は、作る工程がシンプルで安価に作ることができるため、マスクや袋などに活用されています。

授業の後半は衣服の機能について。

衣服には、体温調節、皮膚の清潔、身体防護などの「保健衛生的機能」以外にも、個性を表現したり、所属や職業、団結を表したり、冠婚葬祭で着用したりするなどの「社会的機能」があります。

TPOに合わせた装いをすることも、大人になると求められてきます。自分が着るものは、自分で選び、自分で管理する。
衣生活の授業では、そのような知識や技術を身につけていきたいと思います。

本時では、保健衛生的機能のうち、快適な体温の保持について詳しく学びます。

人が快適に感じるのは、衣服気候の最内層の温度が31〜33℃、湿度が40〜60%の時です。この原理は、宇宙服の開発にも使われています。


衣服気候は、毎日の服の着方にも直結するとても面白い内容です。でも、なかなかその面白さが生徒に伝わりにくいあせる

そこで動画の登場です。
視聴するのは、20年ほど前のNHK「試してガッテン」の実験です。

肌着を着てスーツを着た実験群と、肌着なしでスーツを着た実験群が、同じ条件下で通勤に見立てた運動後の快適度を測定した実験です。

快適、不快がはっきりと分かれ、衣服気候の原理の理解を助けます。肌着を着用することの意義も、汗の機能も実験で分かりやすく可視化してくれます。
 
衣服気候の原理を理解した上で、暑い時の涼しい服の着方や、寒い時の暖かい服の着方について説明しました。


最近よく見かけるようになった空調服も紹介しました。 
空調服とは、背中にファンが2つ付いていて、着るととても涼しいです。


ポイントはいかに汗の機能を効率よく使うか。かいた汗をファンで蒸発させることにより、気化熱で涼しくする工夫です。
授業で見せるため、私も1枚購入してみましたが、その涼しさに驚きましたビックリマーク生徒たちも、着用しては感嘆の声をもらしていましたガーン

冬には電熱ヒーター内蔵ベストなるものもあります。釣り好き夫、愛用グッズです。

真冬の海で電熱ヒーターベストは役立ちます。過酷な環境下では、この様なグッズを活用して衣服気候を調整できるんですね。

普段の生活では、肌着を着用して湿度調節したり、開口部を工夫して熱を逃したり閉じ込めたりすることで、快適さは作ることができます。ワイシャツのネクタイを外して開襟にするだけで、体感温度は2℃違うと言われます。衣服気候を熟知して、快適な衣生活を送りましょう。

最後に、プリントの資料を提示しながら、ヒートテックやアイスタッチの繊維についての話をしました。

近年は、繊維の開発が進んでいて、繊維自体が発熱したり、汗で濡れると通気性をよくしたり、様々な機能を持つ繊維が出てきて、これらで作られた下着やスポーツウェアが身近になってきました。

知識をもち、工夫して衣服を着ることで、快適な衣服気候を作っていきましょう