衣生活の授業です。

衣生活で、生徒たちの関心が高い分野は、ファッションだと思います。
冒頭に、「ファッションを日本語に訳すと何になる?」と尋ね、ファッション=流行の話から入りました。

近年、流行の大きな波が来ることはなくなりました。その一因は、「ファストファッション」が身近になったこと。安くて高校生のお小遣いで買える衣類が出回り、お洒落を気軽に楽しめるようになりました。

1900年代後半は、流行の大きな波が、世界を巡っては、廃れていきました。

1982年、川久保玲さんがパリコレで発表し、世界的な流行を引き起こした「黒の衝撃」を例に、1900年代後半の流行についての話をしました。
私が小学生の頃、黒ずくめの服や穴の開いた服が大流行しました。また、高校生の頃、短いスカートとルーズソックスが流行りました。

今のファストファッションでは、大きな流行は見られなくなり、洋服は、大量生産、大量廃棄の時代になりました。

短いサイクルで小さな流行を繰り返しながら、店頭には常に新しい商品が並んでいます。

このことは、地球の環境問題に直結しています。

日本では、年間15億着の衣服が捨てられているそうです。その多くは化学繊維(石油から作られる)でできており、資源の無駄遣いと同時にゴミ問題も引き起こしているのです。

今の生活を大きく変えることはできないかもしれないけど、環境問題の解決の糸口は、昔の民族衣装に学ぶことができるのかもしれません。

私たちは「服」と言うと、立体構成の「洋服」を想像するけど、民族衣装には、平面構成のものが多い。


例えば、グアムで買ったパレオ。1枚の四角い布ですが、露店のおばちゃんが教えてくれた着方はこれ。

ただの布が、ワンピースになりました。

メキシコのポンチョや、インドのサリーなども、平面構成の衣服です。

日本の着物も平面からなり、紐や帯で、体に合わせて着付けていきます。

さて、みんなはどうして、日頃、着物を着ていないのでしょうか。また、着物の良さはどこにあるのでしょうか。

平面構成である着物は、端切れが出にくく、使い終えた後、ほどくと布に戻ります。紐や帯で体に合わせて着る着物は、体型や身長を選ばず、1つのサイズで色々な人が着ることができます。
様々な色とサイズに対応して作られるファストファッションの衣類とは大きく違い、着物はとても環境に優しいエコな民族衣装なんです。


昨年の夏、3年ぶりに地元のお祭りがあり、お友だちと夏祭りに行くと言う娘に浴衣を着せてあげました。


1人で着るのは恥ずかしいと言う娘に、我が家の浴衣レパートリーでよければ…と、お友だちにも着せてあげました👘

身長163cmの私の浴衣を小学6年生(140〜150cm)が着られるのはなぜ?


答えは、浴衣が平面構成だから。
身体に合わせて帯で調整できるので、ワンサイズで身長の高低、体型の太細に対応できるのです。
近年のファストファッションブームでは、サイクルの早いカラフルな商品に、多くのサイズ。どれだけの商品が売れ残って廃棄されているかと考えると恐ろしくなります。その点浴衣は、サイズは1つで柄も1点もの。さらに、平面構成の利点として、使わなくなった後、ほどくと布としての再利用がしやすいエコな衣服なのです。

浴衣にはぞうり。手作りの吾妻袋から好きな柄を選んで、行ってらっしゃーい👋


祭りに浴衣。ザ、日本の夏‼️

今年のお祭りでも、娘とお友だちに浴衣を着せてあげました。


出店が復活し、昨年より人出も多く、賑やかなお祭りになりました😆

お祭りに、浴衣の人が1人もいなくなったら寂しいと思います。和の文化、高校生のみんなも意識して、引き継いでいってほしいと切に願います。


伝統文化を継承することは、サステナブルファッションのヒントになります。
でも、これから着物生活に戻すことは、非現実的です。私たちは、着物の良さや物を大切にする日本の文化を知りつつ、そこからヒントを得て、サステナブル(持続可能)な社会を作っていくことができるのではないかと思います。
今月末に授業で行う裁縫実習では、日本の伝統である「てぬぐい」を使って、江戸時代から使われている「あづま袋」を縫います。



また、家庭クラブでは、今月末、地元の「小倉織」で作る裁縫講習会と、
和菓子作り+抹茶のいただき方講習会を計画しています。



これからますます国際化していく日本の社会において、若い世代の人たちが、まずは日本文化を知り、そのよさに気付き、繋いでいってほしいと思います。

最後に、時間のあるクラスでは、みんなの一番身近な衣服である制服について、プリントの資料と共に話しました。

学ランやセーラー服の由来は、軍服です。
学ランの首元の固いカラーは、銃弾から喉元を守るためですし、元々水兵さんが着ていたセーラー服の大きな襟は、立てると海での集音に役だったそう。また、船では怪我が付き物。大きな三角のスカーフは、止血帯や骨が折れた時の吊り布の役割を持っています。胸の三角の布は、簡単に引きちぎられるようになっており、海に落ちた時に服が脱ぎやすいようにするためのものでした。

本校の冬の制服は、男子は学ランです。
女子の夏の制服には、セーラー服の名残があります。

LGBTQに理解が深まる中、男性や女性特有の印象が強い学ランやセーラー服は、モデルチェンジをする学校が増え、ブレザーが主流になってきました。

本校の制服も、時代と共に変わっていくのかな。
そんな話を生徒たちとしました。


日本の制服は、ブレザーのものが紹介されています。学ランやセーラー服の制服は、今後、見られなくなっていくのかもしれませんね。