『アナグマの森へ』
(アンソニー・マゴーワン作 野口絵美訳 徳間書店 2023.12.31)
を読み終えました。
この本は、『荒野にヒバリをさがして』(アンソニー・マゴーワン作 野口絵美訳 徳間書店)の前作です。
日本での出版は逆になってしまいました。
『荒野にヒバリをさがして』が2020年のカーネギー賞を受賞したので、すぐに翻訳され、それが出版社的に売れたので、その前作も出版しようということになったのでしょうか。
『荒野にヒバリをさがして』は、私も紹介しています。
復活祭のお休みに、季節外れの雪に見舞われた兄弟の物語 | 家庭文庫どんぐり小屋 (ameblo.jp)
『荒野にヒバリをさがして』は、朝 家を出てから翌朝までの一日のお話ですが、
『アナグマの森へ』もかなり絞った物語です。
ケニーとニッキーの兄弟は、父さんと3人暮らしです。
母さんは家を出ていってしまい、父さんは犯罪に巻き込まれ保釈中で、酒におぼれ気味。
ニッキーは鬱々とした気分です。
兄のケニーは軽い知的障害があり、ケニーの面倒はいつもニッキーが見ています。
ヤングケアラーです。
ある日、村の不良たちはケニーに「アナグマと遊ぼう」と声をかけ、ケニーとニッキーを雑木林に呼び出したところから、物語は始まります。
村の不良ジェズボたちは、アナグマの巣穴に飼い犬をけしかけて、アナグマと戦わせる悪質な遊びに、ふたりを巻き込みます。
弟のニッキーからの視点でおはなしが語られるので、ニッキーにはわからないこと(お父さんのこと)はあっさりと語られ、それが核心のみを語る結果となって、私はとてもついていきやすかったです。
それは、『荒野にヒバリをさがして』でも同じでした。
私にとっては、物語が逆行しているので、
ケニーの愛犬ティナの『荒野にヒバリをさがして』での行動に合点がいったり、お父さんの恋人のジェニーやお父さんの仕事などもわかって、いろいろ整合性がとれました。
今から読まれるなら、『アナグマの森へ』から『荒野にヒバリをさがして』と読んだ方がいいかもしれません。
原作はその順番ですし。
131ページの物語ながら、深い余韻を残す物語でした。
クー