私は採用された会社でパートとして働くことになりました。

営業事務の募集だったので、昼間は言われたことだけやって、家に帰ったら個人事業主といった風にやろうと考えていました。


会社での私の上司にあたる人は、総務や人事、財務にも関わるいわゆる管理部門の部長さんで、私が商業高校を出ていたのを見込んで、初日からいきなり小口現金をやって欲しいと頼まれました。


商業を出たとは言っても、帳簿付けなんて実務でやったことなどほとんどありません。現金も、セミナー受付業務で集金したり、販売のバイトでレジを少しやったぐらいでした。


この人は、入ったばかりで得たいの知れない私に、よく現金を触らせてくれるなあ。と、驚きました。でも、あてにされるのは、悪い気はしません。1円でも間違えないように、そして、何があっても決して疑われることのないように、誠実にしっかりやろうと、その役目を喜んで引き受けました。


そんな事をしていてしばらくすると、社長さんが会社にやってくるようになり、顔を合わせる機会が増えました。


会社の先輩に私が健康食品の販売をしていることを言うと、「社長は健康食品が好きだから、それ、薦めてみたら?」と教えてくれました。ある日、私はタイミングを見計らって、社長さんにサンプルをお渡しして、宣伝してみました。


社長さんは噂通り健康に気を使っていて、健康食品をすでにたくさん、しかも定期的に購入していました。ですから私の商品が良い物であることを理解されるのも早かったのですが、予算の関係があるので、少し待って欲しいと仰いました。



健康食品が数個売れ、営業事務と小口現金の処理にも慣れてきた4月頃、部長さんから展示会の準備があるから手伝って欲しいと頼まれました。以前は、広告や展示会準備をしてくれていた女性が短期間いたらしいのですが、辞めてもういないので、ぜひ手伝って欲しいというのでした。


そして渡されたのが、展示会のパンフレットと申込書で、しかも場所が東京ビッグサイトという大きな場所で、国際規模のイベントでした。聞けば会社でその国際イベントに出展することは、はじめてだというのです。


確かに、上場企業に勤めていた時は会社が幕張メッセのショーに出展していたので、見学に行ったことがありましたが、設営から携わったワケではないので、何をどうするのだかサッパリわかりませんでした。


それでも、パートの私にいろいろ任せてくれる、その部長さんの気持ちがとても有難く、そして面白そうと思ったので、これも引き受けました。取りあえず用紙を書いたり、出展先への連絡を取ったりしていると、そこへ社長さんがまたやってきて、私にこう言いました。



「Kateさんに、ぜひ広報宣伝担当をやってもらいたい!」



社長さんは、私が独立して健康食品を売ろうとしていた、その意気込みを気に入ってくださったようで、正式に命令が下ったのです。いま思えば、あれが私の広報・PRウーマンとなるキッカケでした。


ちなみに、社長さんは、しばらくして健康食品を買ってくださいました。