初日はホテル内の公園、ボーリング、そしてディナーを頂くと皆早々に眠りに落ちた。そんなんで二日目早朝に目覚めたミドリは、そそくさとホテルのロビーでブログをアップしていた。そんな時にミドリは一人の日本の若者を見かけた。なんでも前日プラハを散策中にクレジットカードと現金の入った財布をすられてしまい、今日が地球の最期の日か!?というくらい悲愴感が漂う仮名“MAKOTO”という若者である。一旦部屋に帰って来たミドリから
「スリに会った日本の若者が困ってるみたいよ」
 と言って叩き起こされロビーへ行く事に。憔悴しきったMAKOTOは日本語を話す家族を見つけると、
「もしかして日本の方ですか!?」
とすがるような目つきで近づいてくると、昨日からのできごとを一気に話しだす。昨日プラハを散策中に気づいたらズボンの前ポケットに入れていた財布がいつの間にか無くなっていた事、警察に行って届け出たものの、意思疎通が十分でなく、門が硬く閉ざされた営業時間外の日本領事館前に放り出されたこと、とりあえずチェックアウト済みのホテルに戻って来てあたふたして電話をかけまくったこと、でもお金がないのでホテルに頼み込んでロビーで一晩過ごしたところ、宿泊客らから、なんだこのアジア人とからかわれてまともに眠れなかったこと。そんな時に偶然出会ったのが我々であること・・・・

 動揺して今一つ要領を得ないが、パスポートや航空券は無事で、数万円の現金はまだ手元にあるらしい。主要なクレジットカードをストップして、緊急再発行ができないか問い合わせている事、あと一日プラハ滞在を延長して対処方法を明確にして次の目的地へ向かう事などである。しかし動揺しているMAKOTOは、
「何度も一人で海外旅行してたので油断してたのかな。」
「言葉も十分じゃないのに、海外旅行をなめてたのかな。」
「まだ来たばかりだけど、帰国した方がいいんだろうな。でも皆の笑い者になるだろうな。いや、母親が危篤になったことにしておこう。」

どんどんネガティブになっている。我々が朝食に行っている間ノートPCを貸して上げるので、調べ物や連絡に使うように言う。
 朝食バイキングでミドリはサンドイッチを作り、バナナ数本と合わせてMAKOTOに渡したが、あの時にはミドリが女神様に見えていたに違いない。しかし朝食バイキングをおごってあげるのでなく、こっそりサンドイッチをつくる辺りが貧乏臭い。いや当然か。そんなことを思いながらMAKOTOに指示して残りのクレジットカードと銀行のキャッシュカードをストップさせる。そして少しばかりの現金を手渡すと、少しだけ気を取り直したMAKOTOは安宿探しと警察、領事館に向かうと言ってホテルを後にした。頑張れ、MAKOTO!!  ・・・・・つづく