実家の玄関に備え付けてある収納を整理した。
と言っても主に作業をしたのは母なんだけど。
普段手をつけない奥の方まで片づけをしていたら懐かしいものを発見した。
それは昔息子が来ていたレインコート。
本当に小さくて、『こんなの着てたんだ!』と驚いた。
買ってもらった時には嬉しくて。
晴れている日でも『着ていく!』と言ってきかなかった息子。
でも夏が近くなると晴れている日はとても暑いから、
「雨が降った時にしようね」
と目につかない場所にしまった。
それで雨の日だけ取り出して着せていたのだが。
お盆に実家に帰省することになった時に息子がルンルンで、
「おじいちゃん家にカッパ持っていこう」
と自分のリュックに詰めた。
天気予報を見るとずっと晴れるみたいだけど。
必要あるかな。
それにリュックが小さいからレインコートを入れるともう何も入らないみたい。
別の物で気を引こうとしたけれど、頑として譲らないので。
これはもう仕方ないと思って私の荷物に入れた。
その後も私がちゃんと持っているか何度も確認されて(笑)
実家に着いたら、
「みてみて~」
と早速着てお披露目していた。
『まあ可愛い!』『似合うね』
そんな風に言われて気を良くした息子は、その後もずっと家の中で着ていた………。
しかし、それほど執着していたレインコートも帰る時にはすっかり忘れ。
そのまま実家に置きっぱなしになった。
私も両親もそのことさえ忘れていた。
取り出して手に取った母は、その時の様子を鮮明に思い出したみたい。
置いて行った直後に一度母が、
「宅急便で送ろうか」
と言ってくれたのだが、夫が息子の物を破壊することがあるのでやめた。
目の前で破られたりしたら、それこそ息子の心に傷が残ってしまう。
夫は同じシーンでも機嫌一つで対応が物凄く変わる。
このレインコートの時もそう。
着て見せている息子に対して、
「それ良いな!可愛い!」
と言うこともあれば、
「雨も降ってねーのにそんなの着やがって!馬鹿じゃねぇの?!」
と言うこともあった。
対応がブレブレなのだから子供だって混乱するに決まっている。
息子にしてみたら怒られた時のイメージがより強かったのだろう。
目の前では着なくなった。
朝玄関を出る時、こっそり手に取って静かに着る息子。
いやいや、今日は晴れてるよ。
そう突っ込みを入れたいけれど。
その声を聞きつけてまた夫が文句を言ったら息子が可哀そうだから。
そのままそっと玄関を出て家から離れてから息子と話した。
こうやって書いてると、夫って心が狭いんだなと思う。
何であんな2~3歳の子供に対してどうでも良いことでキレていたのか。
未だにその気持ちが分からない。
一事が万事その調子だったので、『いつも怒っている人』というイメージがすっかり定着してしまっている。
そんな中で良い思い出を見つけられた息子は凄いなぁと思う。
夫には純粋な息子の爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい。