なかなか家を出るきっかけが見つからなくて。

 

このままでは息子も私もダメになってしまう。

 

そう思って相談窓口を利用したことがあった。

 

その時にシェルターのことも教えてもらったのだが。

 

色々考えて利用するのは難しいなと感じた。

 

まぁ、そもそも緊急性という面で該当しないかもしれないと言われたので。

 

こちらから希望したところで受け入れ不可になる可能性もあったのだけれど。

 

基本的にDVシェルターは、ごく短期間の滞在を想定している。

 

一か月程度を目安にしているところも多く、その間に次の一手を見つけなければならない。

 

施設内でスマホ等の制限があるのは仕方がないと思う。

 

コンタクトを取れば、せっかく逃げてきたのに見つかってしまうから。

 

自由に外出ができないことや外の人たちとの連絡手段が絶たれることも、ある程度は仕方がない。

 

ただ、その間の仕事はどうなるの?とか。

 

一時的に休職できても、結局また戻ったら意味がないのではないか、とか。

 

その先のことに不安に感じた。

 

職場を知られている以上はシェルターを出た後も安全とは言えない。

 

今の仕事は本当に大事に思っている。

 

前の職場が閉鎖になり、懸命に転職活動をして見つけた。

 

それまでは応募書類を送っても送っても反応が得られず。

 

諦めかけた頃にようやくもらった内定。

 

事務職という仕事柄、特別なスキルがあるとも言えない状況なので有難かった。

 

もし今後探すとしたら。

 

前の時よりも年齢は更に上がっているので就職活動が楽ではないことは容易に想像できる。

 

これから一人で子供を育てていく上でやはりお金は必要だ。

 

自分で稼いでしっかり育てていきたいからお金の問題は切実だと感じる。

 

そのため、職を手放すということは到底考えられなかった。

 

 

 

 

それ以外にも問題があった。

 

息子と私だけが逃げられても、それ以外の人たちのことが心配だった。

 

実家の両親や兄家族に危害が及んだらと思うとゾッとした。

 

兄のところには子供だっている。

 

逆恨みで何かされたら後悔してもしきれない。

 

私は特にこの私たち以外の人に危害が及ぶことを怖いと思ってしまった。

 

普通は『そんなに悩んでいるのならシェルターに入れば良いじゃない?』と考えるだろう。

 

だけど、それには全てを捨てるくらいの覚悟が必要になるのだ。

 

自分以外の人のことも考えなければならない。

 

万が一シェルターを利用した後にどこか遠いところに逃げたとしても。

 

その後ずっと親しい人たちと連絡を取れなくなることも辛かった。

 

それならば、相手を怒らせないように離婚した方が良いんじゃない?

 

そう思って機会をうかがった。

 

それで上手く家を出られたから良かったと思う。

 

だけどそれは結果論であって。

 

去年の夏にあのようなことが無ければ、まだあの家に居たかもしれない。

 

あるいはテレビに出るような事件に発展していた可能性もある。

 

何か一つでも選択を間違えたら大変なことになるから慎重に行動していた。

 

でも、あの日だけ。

 

あの家を出た日だけは勢いで行動できた。

 

無我夢中で夫の影響が及ばない場所に行こうとしていた。

 

この選択が正しかったのかどうかは、もう少し先に分かると思う。

 

今は早く離婚できるように準備したい。