夫からの留守電は未だにたびたび入る。

 

もう聞くのも嫌になったので消そうとしたのだが。

 

何か重要なこと(例えば義実家に帰るとか)を聞き逃すと困るので。

 

まずは兄が確認して、必要だと判断したものだけ聞くことになった。

 

それで今回知ることになったのが義弟の所有するマンションの売却だ。

 

以前売ると言っていたのだが。

 

まだ売却が済んでいなかったのか………。

 

その間、義父がずっとローンを払っていたということ?

 

義弟は今アルバイトはしていてもローンを返せるほどの収入はない。

 

シフトもあまり入っておらず、まずは社会復帰に向けたトレーニングという感じだ。

 

以前義両親が、息子たちにお金がかかりすぎて『もう貯金も尽きる』と言っていた。

 

それはポーズなどでなく真実なのだと感じた。

 

そんな事情もあったので。

 

売り払っているものだとばかり思っていた。

 

前に近しい人から義両親が助言を受けていた。

 

マンションを売るとなったら、できるだけ早く行動に移した方が良いと。

 

所有し続けるつもりがない場合、資産価値が下がらないうちに売るべきだと諭されていた。

 

貯金が底をつきそうだと言っているくらいなのだから。

 

ローンの支払いだっていつ滞るかも分からない。

 

ようやく重い腰を上げたということは、いよいよ時間との闘いになってきたのだろう。

 

ここで更に時間がかかったら義実家の家計状況もより苦しくなっただろうが。

 

幸いにもすぐに売却できたそうだ。

 

ただ、ここで問題になるのがローンの残債。

 

売却してもまだ残債がある。

 

義弟にそれを支払う余力はない。

 

ということで、その分は義父が何とか返済するらしい。

 

あとは義弟が独り立ちできれば義実家にも空き部屋ができる。

 

そこに夫が移り住むことができれば万々歳だ。

 

 

 

 

家を買うって一大事だよね。

 

でも当初パワーカップルだった義弟夫婦にとってはそれほど負担ではなかった。

 

ローンを払っても遊びまわるお金があった。

 

それが今や義実家にお世話になりつつ、アルバイトで小遣いを稼いでいる。

 

人生って分からないものだな。

 

とりあえず、これでローンの返済に追い詰められることは無くなったのだ。

 

そこは素直に『良かった』と思う。

 

義弟にとっても厳しい選択だっただろう。

 

引っ越した当初は新しい生活への希望に満ちていて。

 

真新しいマンションは理想の住まいだったはず。


この数年の間に本当に色んなことがあって義両親も相当なショックを受けている。

 

しかも、我が家はこれから離婚について詰めなければならないという状況で。

 

たった一人の孫とも思うように会えない。

 

義母はこの状況を嘆き悲しんでいる。

 

家を出てから一度一人で義実家に行った時に、義母がポツリと

「私の育て方が悪かったのかねぇ」

と言っていた。

 

あの物悲し気な姿が今でも忘れられない。