三者面談はつつがなく終わった。
もう少し大きくなれば勉強のことなんかを真剣に話すのだろうけど。
まだそういう感じでは無くて。
学校での様子とか先生から見て気になっていることを教えてくれた。
息子はのんびりしているので、何でも時間内に済ますことが苦手らしい。
その傾向は普段の生活にも表れている。
例えば朝の出発時間をあらかじめ決めておき、その5分前に用意を終えるように指示したとする。
そう指示を受けたら何時何分までに用意しなければならないと分かっているのに。
逆算してギリギリ間に合うくらいに初めて動き出す。
でも、予定通りに進まないこともあるからちょっとしたことで時間をオーバーしてしまう。
これが学校でも同じような感じになっていて、
「段々と早めに行動できるようになると良いね」
と言われた。
大体はちょうど良いタイミングで終えることができるという。
何にも考えていないようでいて、
「案外、ち密に計算してるんですね」
と笑われた。
以前は夫の影響もあって周りの子たちと上手くやれていなかったのも気になっていた。
一度そういう印象がついてしまうと今後も同じような状態になるのではという不安。
今は自由を満喫していて本来の性格が前面に出ているとは思うのだけど………。
改めて聞いてみたら、その不安も払拭された。
いつも仲良しの子たちと楽しそうに過ごしているみたい。
今回学校に行ってみて、以前とは大きく印象が変わっていることに気づいた。
前はいつもどこに居ても心の片隅に薄暗い気持ちがあって。
頭の中では常に家の中でどうやり過ごすかばかり考えていた。
せっかく学校に来てもどのようなやり取りをしたのかはっきりと覚えていない。
心ここにあらずの状態だったのは私も同じだ。
息子がもっと小さい時、学童に行かされた時のことも思い出された。
イライラする夫と放課後毎日一緒に居た息子。
家以外の場所で過ごせるのならその方が良いとは思っていた。
でも、学童を長時間利用する場合にはお迎えが必要になる。
定時まで仕事するとどうしても間に合わないから不可能だと諦めた。
それなのに夫が強制的に入れてしまった。
顔を見たくないという理由だけで。
良かったと思う気持ち半分と、お迎えが間に合わないからどうしようという気持ちが半分。
必死で走ったけど、やっぱり毎日2~3分オーバーしてしまった。
それなのにスタッフの方たちは嫌な顔一つせずに、
「今日も元気に遊んでましたよ」
と笑顔で対応してくれた。
有難かった。
温かい気持ちに感謝しつつ手をつないで歩いた帰り道。
二人とも家に帰りたくなくて寄り道した公園。
そこから見たお月様は本当にきれいだったな。
きれいで感動したのに、悲しくなって二人で声を出さずに泣いた。
早く帰らなきゃと思って立ち上がろうとするけど『帰りたくない』と体が拒否した。
そんな思いを抱えながら家に帰るとイライラマックスの夫が待ち構えていた。
夫の顔を見た途端、絶望にも似た気持ちがわきあがった。
いつまでこの状態が続くの?
息子を助けるにはどうしたら良いの?
毎日そればかり考えた。
あの頃はもう辛いことしか無いんだと悲観していたけれど。
今はとても幸せで満ち足りているから。
あの日の自分に『大丈夫だよ』と言ったあげたい。