別居してから、私はすぐに指輪を外した。

 

結婚指輪をしていると、いつまでも夫の支配から逃れられないような気がして。。。

 

気持ちの持ちようなんだけど。

 

やっぱり左手に指輪があると目がいってしまうし気になってしまう。

 

外した後は多少なりとも開放感を味わうことができた。

 

と言っても、離婚が成立するまではまだまだ気を抜けないのだが。

 

それに対し、夫の方はいつまでも指輪を外さない。

 

夫の友達も来てくれた話し合いの場でも確認した。

 

途中でお互いの主張がかみ合わずに少し言い合いになってしまった時。

 

ここまで来て何の成果も出さずに帰ることはできないと焦ってしまった。

 

それなのに夫は全く妥協する様子もないので、イライラして

 

「もう縁は切れたんだから指輪も外した方が良いよ」

 

と言ってしまった。

 

そう言われてシュンとするような人ではないことを知っているのに。

 

攻撃だと受け取ったのか、夫は強い口調で、

 

「そんなのこっちの勝手だろ!お前に指図される覚えはない!」

 

と言って、

 

「そんなに気にしてる方がオカシイんじゃない?」

 

と馬鹿にするように口の端を上げて笑った。

 

見かねた友達が『まあまあ』となだめてこの件は収束するかに見えたが、そこで夫が

 

「この指輪は一生つけるから」

 

という謎の宣言をして一気に一触即発の雰囲気に変わった。

 

その間、私は夫がいつもやるようなため息を何度もついた。

 

傍から見たら本当に感じが悪いと思うのだが。

 

『あなたのしていることが受け入れられません』という意思表示のために。

 

付き合い始めてからずっとため息をつかれる側だった。

 

いつも傷つけるのは夫で、傷つけられるのは息子や私。

 

それなのに急にそんな態度に出たものだから余計に夫は怒った。

 

 

 

 

それで、

 

「何だ、その態度は!」

 

となったわけだが、すかさず私が

 

「いつもこうやって○○(夫)にため息をつかれてたんだけど」

 

と言ったら、

 

「それはお前らが怒らせるからだろ!」

 

と顔を真っ赤にして怒った。

 

それでもひるむことなく、

 

「どう?これで分かった?ため息をつかれた時の気持ち」

 

と言ってみたら今度は無視された。

 

きっと都合が悪くなったんだね。

 

結局指輪はしたままで、その話し合いの最後に離婚に前向きな感じで終わった後も指をさすりながら

 

「でもさ。一度は縁があって一緒になったわけだから。この指輪は大事にするよ」

 

と言った。

 

それを聞いた途端ゾゾっとなった。

 

でも、せっかく前向きに離婚を検討し始めたのに水を差してはいけないと思って何も言わなかった。

 

そしてその後もずっと指輪を外すことなく既婚者の振る舞いをしている。

 

去年その友人と少しだけコンタクトを取った時に教えてもらった。

 

夫には未練という言葉では表せない何かがあるんだと思う。

 

せっかく慕ってくれる彼女がいるのに。

 

もう夫に対して気持ちが残っていない私たちに執着するのは何故なの。

 

もし指輪がまだ縁をつないでいるのだと思っているのなら、アクシデントか何かで無くなって欲しいと思う。

 

というか、夫の記憶から私たちのことを消して欲しい。