夫は血圧が高かった。

 

初めてそのことを知ったのは、まだ付き合い始めて間もない頃だった。

 

外食をする時に塩分を気にする夫。

 

繁忙期になると不規則になり体調管理をするのも難しい仕事だったから。

 

忙しさにかまえて規則正しい食事にできないのではないかと思っていた。

 

確かに作業が深夜に及ぶことも多かったし、ストレスもあった。

 

その中で健康を維持するのは大変なことだと思う。

 

それで勝手に仕事のせいだと思い込んでいたのだが、どうやら割と若い頃から高血圧だったようだ。

 

このことはずっと心配していて、一緒に住むようになってからは自炊生活も頑張った。

 

なるべく減塩を心がけ、薄味でも食事を楽しめるように工夫もした。

 

その甲斐もあって健康診断の結果がまぁまぁだったということも増えたように感じる。

 

でも、毎回調子が良いわけではなく、時々は『今回は高かった』とがっかりしていることも………。

 

もちろん私も夫の調子が良くなるのが一番だと思う。

 

それが大前提ではあるが。

 

時々ふと、あまりにも怒り狂っていることが多いから血圧が上がるんじゃないかと思っていた。

 

相関関係は分からないが、機嫌が悪くて激怒した時などは高い。

 

心配して、

 

「あまり怒らない方が良いよ。血圧にも悪いんじゃないかな」

 

と言ったことがある。

 

しかし、そう言われると逆に『ファイト!』とゴングが鳴るようで。

 

落ち着かせるつもりが逆効果になってしまうこともしばしばだった。

 

義両親が来ている時には、こういった発言は更に注意しなければならない。

 

義両親から見て大事な息子に酷いことを言っていると思われてしまうから、とかではない。

 

私がそのような発言をすると義父が悪ノリして、

 

「そうだ。お前はいつもカッカしてるから高いんだ」

 

と茶化すように言うものだから火に油を注いでしまう。

 

ただでさえ気にしているのに、そのような発言をされたらもうしばらくは口もきかなくなるので正直面倒。

 

 

 

 

義母の場合はまた別の方向から怒らせる。

 

心配のあまり口出しをするのだと思うのだが、

 

「○○が悪いんじゃないの?もっとちゃんと気を付けないと」

 

とか、

 

「○○しない方が良い。この間テレビでもそう言ってた」

 

という類の話を延々とする。

 

それがあまりにもくどいものだから夫が怒って話をブチ切る。

 

結局どっちに転んでも良くない方向に行ってしまうので、口出ししない方がマシだという結論に至った。

 

ただ、夫には前に言われたことをいつまでも根に持つ習性がある。

 

だから、新たな結果が出て前よりも高く出てしまった時に何も言わなくても、

 

「何か言いたそうにしているな」

 

という感じで怒る。

 

一度口に出してしまったら同じような事象が発生するたびに延々と怒られ続けるということだ。

 

これではうかうか心配もできない。

 

心配して怒られるなんて馬鹿みたいだと思うようになった。

 

それで、もう心配はしなくて良いということなのだと思ったら気が楽になった。

 

学習してからは、この件に関してスルーを貫いた。

 

でも、義両親にとってはそれも不満だったらしい。

 

何度も、

 

「○○(夫)が健康じゃないと不安よねぇ」

 

などと暗に助言するように促されたが、既に健康ではないのに何と答えれば良いのやら。

 

嫌味を言われても心配して何か言えということだと思うのだが、怒られてまで言いたくない。

 

これはほんの一例で私が口を出さなくなったことがたくさんある。

 

無関係を貫くことで精神的なストレスが軽減されるということを学んだ。