夫は見た目にものすごくこだわっている。
ファッションにも気を遣っているし、体型維持にも余念がない。
少しお腹が出てくると室内で行える筋トレも実践している。
それでもやはりアクティブに生活しているわけではないので多少の変化は否めない。
誰だって体型は変わるものだし、長い目で見て大きな変化が無ければ良いのではと思うのだが。
夫はそれが許せない。
気になる部分が出てくると『何かしなければ』と思うらしく。
そのためにはどのような方法があるのかを徹底的に調べたりする。
そんな元気があるのなら、もう少し家族にために動いて欲しかったんだけどな。
以前、夫の友達が
「○○(夫)は体型が変わらないよな。羨ましい~」
と言った。
皆の前では全く気にも留めない素振りを見せていたのだが、内心はとても嬉しかったらしい。
その後何度も体型をキープするのがいかに大変かを私に力説していた。
そして最終的には
「まぁ体質もあるよな」
で締める。
どんだけ自分が好きなんだ………。
ここまではまだナルシストとして受け止めれば良いのだから直接的な害は無いだろう。
問題は私にも若くいることを強要することである。
そうは言っても日々忙しくしていてゆっくり自分をケアする時間も持てない。
しかも、金銭的な不安からいつも頭の中ではお財布の中の残金を計算していて。
スキンケア用品だって気軽に買えないような状態なのだ。
そんな厳しい状態なのに、なぜ美容にまで気を配れなんて言えるの?
たとえ私のお小遣いでも夫基準で無駄だと思う物に対しては容赦なく却下するくせに。
スキンケア用品とかヘアケアなんかの出費には何も言わない。
それどころか、もっと手をかけろと言わんばかりにあおってくる。
そういう風に仕向けられると余計にお洒落はしたくなくなるし、綺麗にしておくことにも拒絶感を覚えるのに………。
私はもう夫に女性として見られたくないと思っている。
そういう対象に見られるだけでぞっとする。
結婚したということは好きだったんでしょう?
事情を知らない人はそんな質問をしてくるけれど。
もう昔の気持ちなんて全部吹っ飛んだ。
今はマイナスの感情しか残っていない。
まだ夫と生活している頃は、実家に帰省するたびに母から
「なんか痩せたんじゃない?」
と毎回言われていた。
それも本当はとても嫌だったんだけど、母には悪気が無いことも知っていた。
心配から言ってくれる言葉で、その裏には『生活が苦しいんじゃないの?』という気持ちが隠れている。
きっとお金が無いと言えば援助してくれたと思うのだが、心配をかけたくなくて問題が無いように振舞った。
夫の場合は私や息子を思いやって出た言葉ではない。
夫自信が満足するための助言だ。
それが分かってからは素直に従いたくなくて、わざとがっかりさせようなんて考えた。
体型なんて気にするもんか!という気持ちでジャンクな物を食べたり。
寝る前にパンを食べたりした。
ささやかな抵抗。
そんな私を見るたびに夫は忌々しそうな顔をしたが気にしなかった。
でも、待っていた結果は想像していたものとは違っていた。
ストレスもあったと思うんだけど、胃腸の調子が悪くなってかえって痩せてしまった。