全く空気を読まない夫。

 

あえて読まないようにしてるのかな。

 

強く拒絶されているのに、誕生日パーティーの日にお祝いのメッセージを送ってきた。

 

誕生日当日ではなく、パーティーの日というのが夫らしい。

 

多分私たちへのポーズもあるのだろう。

 

俺だってこんなにやっている。

 

父親らしいことをしている、という。

 

だけどね。

 

それ以前の問題なんだよ。。。

 

『あーあ、またか………』と思いながらメッセージを確認した私は愕然とした。

 

あんなに愛してると公言する息子の年齢を間違えているのだ。

 

これが大人になって子どもの年齢を強く意識するようなことが少なくなれば起こり得るかもしれない。

 

でも、こんなメッセージを送ってくるということは、ちゃんと文面を考えて送信しているはずだから。

 

やっぱり年齢を間違えるというのはおかしな話だ。

 

今回はもっとおかしい。

 

息子はまだ小学生なのだ。

 

間違えるような年齢ではない。

 

だいたい、何年生かを考えれば年は分かるだろうに。

 

メッセージには誤った年齢で、

 

『〇歳、おめでとう!』

 

と書かれていた。

 

しかも、父親らしい文面にしたかったのか、

 

『この一年で○○(息子)は大きく成長したね』

 

と書かれていて、それを私に代わりに伝えてくれという依頼だった。

 

 

 

 

頼まれたところで、そんな呪いのようなメッセージを伝えるわけにはいかない。

 

その日は皆が集まってパーティーをするのに、水を差すようなこともしたくない。

 

たぶん、みんなが居ることを見越しての行動だと思うのだが。

 

今の私は夫の狡猾なところをよく理解してるので、計画的にこの日を選んだのかと思ったら嫌悪感を感じた。

 

きっと嫌がらせでもないんだろう。

 

本当に息子の年齢を思い違いしていて、思い込んで送ってきたというだけの話。

 

それだけなんだけど、この世にたった一人の父親からその程度に思われている息子が不憫になった。

 

周りの子たちはみんな大事にされていて、我が儘の一つくらい言ったところで受け入れてもらえるような環境で。

 

時には叱られることもあるだろうが、明日の心配なんてしていない。

 

それに比べ、息子は落ち着いた環境を手に入れたといってもまだ不安定な中にいる。

 

明日のことだって内心は不安だろうし、父親という存在自体が心の重荷になっていることは間違いない。

 

どうしてこんなにも違った環境で過ごさなければならないのか。

 

せっかくの誕生日パーティーだというのに、私は早朝からそのメッセージによって心が沈んだ。

 

だけど、こんなことに振り回されていてはいけないと必死に気持ちを切り替えた。

 

私たちが幸せに暮らしていることが一番許せないんだろうから。

 

それなら今日という日をめいっぱい楽しもうと思った。

 

幸いメッセージが来た時にはまだ息子は眠っていて、何も気づいてはいなかった。

 

その時偶然寝返りを打った息子の布団がずれてしまったので、かけ直してそっと頭を撫でた。

 

楽しく過ごせるであろうことを何も疑わずに穏やかに眠る息子。

 

せっかく準備してきたんだから。

 

決して邪魔はさせないと、その瞬間から気持ちを切り替えられるように『忘れろ』と自分に言い聞かせた。