午前中からみんなで集まって、誕生日パーティーの準備を始めた。

 

姪っ子が腕によりをかけて作ったケーキは見た目も素晴らしく、息子のテンションは上がりっぱなしだ。

 

他の子たちは戦力にならないので、別の部屋で遊びながら待機してもらった。

 

ご馳走の準備も着々と進み、夕方頃には準備万端になった。

 

余談だが、部屋の飾りつけは戦力外として別部屋に追いやられた子どもたちがこっそりやっていた。

 

そこには当事者である息子も含まれている(笑)

 

せっせとカラフルな折り紙なんかで飾り付けを作り、

 

「見て見てー!」

 

と見せに来てくれた。

 

パーティーが始まってみんなが着席し、部屋の灯りをオフに。

 

姪っ子作の大きめの誕生日ケーキを持った母が登場し、息子の前にそっと置いた。

 

一同は息子の次のアクションを待っていたのだが、なぜか息子もお行儀良く座って微動だにしない。

 

えっ?と思って周りの人たちが息子を見ると、息子もえっ?という感じで見返した。

 

「ふーって消すんだよ」

 

姪っ子が優しく言うと、息子は恥ずかしそうに

 

「あっ、そうか」

 

と言いながらフーっと蠟燭に息をふきかけた。

 

こんなところもやっぱり息子らしくて、日々変わっていく部分と変わらない部分があるんだなぁなんて思った。

 

食事をしながら楽しい時間を過ごしていたが、いつの間にかDVDの上映会になっていた。

 

映っているのは小さい頃の息子。

 

ムービーで撮ったものの中のいくつかは、実家や義実家にも同じようにコピーして渡していた。

 

 

 

 

よちよち歩く息子は本当に小さくて、まん丸のほっぺが可愛らしい。

 

時折流れてくる音楽に合わせて踊り出すと、茶色い柔らかな髪の毛がふわりと揺れた。

 

まだ辛いことなんて知らなかった頃かな。

 

それとも理不尽な怒りをぶつけられて厳しくされ始めた頃かな。

 

しばらくは拙い動きで歩き回っていたのだが、急にムービーに近寄ってきてぷにぷにの手でレンズ近くをつかみ

 

「まま」

 

と呼びかけた。

 

何だかすごく懐かしい気持ちになった。

 

息子を見ていると楽しくて幸せでついつい時間を忘れてしまう。

 

あの頃も毎日そんな風に感じていたなぁ。

 

もっとゆっくりと過ぎていくものだと思っていたけれど。

 

あっという間に大きくなってしまった気がする。

 

あれから色々あって本当に大変な思いをさせてしまった。

 

置かれた環境は決して望むようなものではなかったかもしれない。

 

だから息子には申し訳ない気持ちもあるのだが。

 

私はとても幸せだ。

 

大切で宝物のような時間をくれたこと、本当に感謝している。

 

まだ上映会は続いていて、楽しい誕生日パーティーは続いてる。

 

穏やかな時間が流れている。