以前、テレビで虐待のニュースをやっていた時。

 

ちょうど家族三人がリビングに集まっていた。

 

何となくテレビから流れてくる映像を見ていたのだが。

 

その虐待があまりにも酷くて、思わず目をそむけたくなるような内容だった。

 

母親とその同棲相手が一緒になって子供を虐待していた事件。

 

最近では割とこのようなケースが見られるようになった。

 

たぶん今までもあったんだけど、表に出なかっただけだと思う。

 

その子は病院に運ばれたらしいのだが、残念な結果になってしまった。

 

私はそのニュースを見ながら『この人たちは人間じゃないな』などと思っていた。

 

その時にチラッと夫の方に目をやったのだが、夫は険しい顔でニュースに見入りながら、

 

「なんでこんなことするんだろうな。子供が可愛くないのかな」

 

と言った。

 

それを聞いて唖然とする私。

 

あなたも虐待してますよね?

 

たぶん、この瞬間心底驚いてしまったので表情にも出ていたのだと思う。

 

私を見るなり、

 

「何か変なこと言った?」

 

と聞くので、

 

「ううん………、何でもない」

 

と言葉を濁した。

 

「何も悪いことしてないのに殴ったり食事を与えないなんて酷いな」

 

という言葉も私は聞き逃さなかった。

 

我が家も夫と息子が二人きりの時に、叩かれたり食事をもらえなかったりした。

 

だから全く同じことをしているのに、何故か強い口調でその人たちを批判していた。

 

いつものことだけど、こういうところが本当に理解できない。

 

 

 

 

夫が息子を虐待する時、そこに理由はない。

 

もっともらしい理由をつけているけど、ただ単に八つ当たりしているだけ。

 

手っ取り早く理由を見つけるために息子のことにいつも目を光らせている。

 

そして、ちょっとでも指摘したいようなことが出てくれば、これでもかという位に攻撃する。

 

夫曰く、『子供のためを思って教育のために行うのはしつけ』なのだと言う。

 

そう。

 

息子に対して行っていることは、夫の中では【しつけ】なのだ。

 

でも実際は違うと思う。

 

自分の都合の良いように言っているだけ。

 

私たちを納得させるために使っている言葉であって、夫が心の底からそう思っているかと言えば疑問が残る。

 

それを証拠に、去年の夏に私たちが家を出てからは『悪かった』と言っている。

 

やっぱり悪いことをした自覚があったということ。

 

モラハラをする人たちは、いつも自分の都合の良いように解釈するからそのまま鵜呑みにはできない。

 

でも、警戒していても口が上手いから騙されてしまうことが多い。

 

『悪かった』とは言っていたが、結局今まで虐待したことを認めているわけでもない。

 

その結果、ありもしない虐待をでっちあげた私が勝手に息子を連れて行ってしまったということになっている。

 

夫の親戚関係にはそのように話していて、夫の中でも既にそのストーリーが【真実】になっている所が恐ろしい。

 

今更『そうじゃないよ』と言っても、既に真実は夫の中ではすり替えられているから話が通じない。

 

一番怖いのが、そのすり替えられたストーリーを聞かされていると何が本当なのかが分からなくなってしまうこと。

 

気が付いたら夫の言うことが真実のような気がしてしまい、自分に自信が持てなくなることも少なくない。

 

長い間夫から洗脳されていたから、抜け出すのは簡単ではないということを痛感している。

 

ほんの少し前までは、どんな小さな物を買うのでも夫に事前にお伺いを立てていた。

 

それでOKをもらってから購入する、というのを頑なに守っていた。

 

決して破ってはいけない我が家のルールとして体にしみついている。

 

変だよ、と指摘されても破ってしまうと心が落ち着かない。

 

本当にそれで良いのだろうかと不安な気持ちになり、責められた時のことを想像してどうやってやり過ごそうかを考えてしまう。

 

もう良いんだよ、と言われても簡単にスイッチのオンとオフを切り替えるようにできないのが難しい所。

 

これがモラハラの後遺症なのか。