息子も私も、夫から猛烈に嫌われたい。

 

『もうお前らなんてどうでも良い!』と言われるくらいに。

 

こちらは全力で拒絶しているのに、それをなかなか分かってもらえないから。

 

二人共とても苦労している。

 

話せば話すほど心は遠ざかっていくのに、それが理解できないみたいだ。

 

一緒に暮らしている頃も、私は涙ぐましい努力を続けていた。

 

その目的はもちろん、夫に嫌われて興味を持たれないようにするためだ。

 

日々の暮らしの中で接するたびに拒絶反応が強くなり、日常生活にも支障をきたすようになった。

 

怒らせないように気を配りながらも、できるだけ距離を取りたいと考えるようになった。

 

それで、わざと身なりに気を遣わず、お洒落をするのも避けるように………。

 

綺麗にしていると好かれてしまうと思ったからだ。

 

服装も気を遣わなくなり、独身の時によく履いていたブーツも靴棚の奥にしまった。

 

スカートも止めた。

 

それなのに、夫には全く伝わらない。

 

今考えると当然のことなのかもしれない。

 

結局は夫は自分が大好きで、自分のことしか見ていないのだから。

 

見えているのは自分だけだから、私に何らかの変化があっても気づくことができない。

 

イメージは結婚した頃のままだったりして………。

 

とにかく私が身なりに気を遣わなくなっても全く気付かないものだから、私は忙しいフリをして夫から遠ざかった。

 

でも夫はしつこい。

 

あんなにも虐げている妻に対して、自分の気分次第で『夫婦は仲良くしなければ』と強制してくる。

 

避けても避けても都合の良い時だけすり寄ってきては些細なことでキレて当たり散らす日々。

 

最後の方は近寄ってくる気配を感じるだけで気分が悪くなった。

 

 

 

 

何でこの人はいつも独りよがりなんだろう。

 

嫌なことをされたり言われたりしたら、傷ついてその相手を拒絶したくなるんだよ。

 

そんな簡単なことも分からない夫は、都合の良い時だけ『夫婦としての役割』を求めた。

 

息子のことを守らなければならないから、雲行きが怪しくなってきた時には嫌々ながらも夫のご機嫌を取った。

 

それで息子の安全が確保されるのなら、という思いだった。

 

でも、そんな風に努力しても息子に対しての虐待は止まない。

 

頑張って夫の機嫌を取ろうとしても、もう無駄なんだ。

 

それが分かってからは、『どうやって逃げるか』ということばかりを考えていた。

 

今はだいぶ状況も変わったが、離れてもなお自分の要求を押しつけてくる。

 

それに加えて、『自分はこんなにもお前たちのことを考えているのに』と言う体で来るのが本当に受け入れられない。

 

私たちのことなんて、これっぽっちも考えていないくせに。

 

早く彼女(仮)の存在が大きくなって、二人だけの世界に浸っていれば良いのに。

 

そう思うのだが、二人は今の距離感を楽しんでいるようで期待するほどの進展が見られない。

 

夫に対して度々ダークな気持ちを持ってしまう自分も嫌いだ。

 

もっと傷の浅いうちに別れることができていたら、まだ少しは夫の良いところも思い出せたのにな。